第2話 大気圏再突入
≪この小説はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません。≫
時間軸は、中央リニア新幹線の開業式典の少し前に遡る。
〇国が20年ほど前に行った、衛星破壊実験で大量発生したスペースデブリの一つが、宇宙ステーションに向かう無人補給船に衝突した。
小さなスペースデブリだったため、運良く?無人補給船の破壊は免れた。
しかし損傷は軽微だったものの、減速用スラスタの制御回路からの配線が、破損・破断していた。
かつて自国が行った、はた迷惑な衛星破壊実験でのスペースデブリが、無人補給船に衝突したのだから、自ら招いた災い、自業自得なのだが、その事実を誰も知らないし、永遠に知ることはない。
「だ、ダメです、無人補給船が減速しません、減速スラスタ作動していません、宇宙ステーションに衝突します」と無人補給船オペレーターが発する大声が、管制室内に響き渡ります。
「メーデー、メーデー、メーデー、こちら宇宙ステーション、こちら宇宙ステーション、聞こえてますか?どうぞ」
「こちら管制室、聞こえているぞ!どうぞ」
「無人補給船が衝突、船体に亀裂、エア漏れ発生、電源モジュール大破、宇宙ステーションの放棄と破壊の許可を願う、どうぞ」
「了解した、宇宙ステーションの帰還船は無事か?どうぞ」
「・・・確認しました、無事のようです、どうぞ」
「緊急命令だ! 乗組員は今すぐ帰還船で全員脱出しろ! 宇宙ステーションは管制室が大気圏に再突入させる、ただし、極秘実験の成果物は必ず持ち帰ってくれ、どうぞ」
「了解しました、緊急脱出します、どうぞ」
乗組員が帰還船を操縦して、宇宙ステーションから無事に離脱すると、管制室のオペレーターたちは、放棄した宇宙ステーションを、大気圏に再突入させるための操作を開始した。
宇宙空間という特殊条件でしか出来ない、細菌・ウイルス兵器開発など様々な極秘実験と研究、放棄した宇宙ステーションをそのまま放置しては、他国に秘匿情報が渡る可能性がある、だがそれは絶対に許されないのだから。
しかし、宇宙ステーションの損傷により、作動しないスラスタ、暴発するスラスタもあり、南太平洋のポイント・ネモに制御落下させることはかなわず、逆噴射等で何とか大気圏再突入まで導くことが、管制室から出来るギリギリ限界の操作でした。
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