第20話 初めての……
今日はゆっくり家に居ようと昼まで寝転んでいた。
昨日はあの後公園を少し散歩して、そのまま帰って来た。
兄ちゃんは今日もどこかへ行きたそうな顔をしていたけど流石に二日連続とかもうそれってカップルじゃない?
ちなみに今日はまだ兄ちゃんの小説は更新されていない。
流石に今日は更新される筈だ。
私はそれをを待ちつつベットに寝転び調べ事をしていた。
とりあえず兄ちゃんが出している小説投稿サイトを色々調べていた。
そのサイトの小説は50万作品を超え、登録者数は100万を超える。
プロの作家も多数輩出し作家の登竜門となっている。
しかし誰でも書けると言う軽い条件故に、毎日物凄い量の作品が投稿されており、そして悲しい事に、その殆どの作品が多くの人に見られる事もなく埋もれているとの事……。
基本的にデビュー、出版にこぎ着けると書籍作家と言われる。
そしてその人は全体の1%以下、全体から見るとごく僅かしか居ない。
さらにアニメ化となった人はもう数える位、入り口は広い代わりに、プロになるにはとんでもなく狭き門となっている。
「今、兄ちゃんのブクマは300件位あるから、一応は皆に見られている方なのかな?…………うわーー兄ちゃんの10倍も居るのに、この人本出せないんだ、うわーーこっちは1万超えても無理なんだ……」
「あははははは、兄ちゃん全然無理じゃん」
私は兄ちゃんが書籍作家になってアニメ化とかになっちゃえば良いと軽く言ったが、既にそれは諦め始めていた。
ブクマを増やすには基本的にランキングに居ることが一番で、トップに居続けられれば、どんどん増えていき、ランキングが落ちれば誰の目にも止まらなくなり全く増えないと言う感じらしい。
兄ちゃんも一時期は7位に居てどんどん人が増えて居たけど、今はランキング外になって全然増えなくなっている。
兄ちゃんもここまでか……。
「ああ、私がもっと兄ちゃんとイチャイチャしていれば、どんどん更新してもうちょっと上に居れたかも……」
そんな思いが駆け巡る、まあ仕方ない後は兄ちゃんが私に対して本気なのかどうなのか、私が兄ちゃんの気持ちを知る指標として見ればいいや。
現状そんな思いに変わっていた。
軽いな私……。
ああ、でもこれが俗に言うチートって奴なのかな?
相手の、兄ちゃんの気持ちを知れるこの優越感と言うか、安心感。
一応罪悪感もあるけど、春と陽、名前も違うし、性格も若干違う、あくまでも兄ちゃんが作っている世界のキャラ、私はあくまでもそのモデルって思ったらその罪悪感も薄れて来ていた。
兄ちゃんにとって春は理想の妹かも知れないけど、兄ちゃんはそれを私に押し付けて来ない。
結局お兄ちゃんって呼ぶのも否定されちゃったし、可愛くしてたら、熱でもあるのかって言われたし。
あくまでも私は私、春は春、その区分けが兄ちゃんの中で出来てるってのが分かったから、だいぶ気にならなくなった。
そんな事を黙々調べ終わった頃、ようやく兄ちゃんの小説がアップされた。
▽▽▽
さあ、正式な春とのツーリングが始まる、これから一緒に色んな所に行こう
俺がそう言うと笑顔で頷く春……ああ可愛い、本当になんて可愛いんだ俺の妹は
俺がヘルメットを被せてやり、バイクに跨がると春は直ぐに後ろに乗り俺の背中に抱きつく、ああ、またこの天国に居るような感触……駄目だ運転に集中しなくては。
俺はバイクを走らせるが、どうしても後ろに感覚が……ああ、このまま180度身体を回したい……
そうすれば、抱き合えるのに……。
△△△
また兄ちゃんエロい事考えて、危ないだろ!
うーーんてか、全然胸無いから気にしいてなかったけど……いや、胸は気にしているよ? 高校生だし。
そうじゃなくて兄ちゃん対して気にして無かったけど、そう思われているって思ったら滅茶苦茶恥ずかしい。
今度から厚手の服を着るか……それとも何か挟むか?
最近AAからAに昇格したんだからね……うう。
私は悔し涙を流しながら続きを読んだ。
▽▽▽
「お兄ちゃん歴史って実際に見ると覚えるんだね」
春はそう言ってはしゃぎながら城を見物している……俺と春にも歴史がある。
……こっちとは比べ物に成らない位歴史が浅いけど、俺にとっては比べ物にならない位重要な歴史だ。
俺と春の歴史は始まったばかり、これからどういう歴史が刻まれるのか俺は楽しみで仕方がない。
春と付き合えるかは分からない、このまま兄妹の歴史で終わるのか? それとも歴史が動くのか?
……俺はそう考えながら春の後を付いて歩く
「ねえねえお兄ちゃん~~」
春が俺を呼ぶ、春……俺の春、俺は春の歴史に自分を刻みたい……。
△△△
お兄ちゃん…………これじゃあ受けないよ? 駄目だよ重いし堅苦しいし。
兄妹の恋愛なんて元々重いんだし、もっとキャピキャピって感じで書いた方が良くない?
こんな調子じゃ駄目だよ、これじゃあ人が見なくなる筈だよ。
仕方ない……私は遂に禁断の手を使う。
▽▽▽
『太陽ちゃん』
良い点
いつも読ませて頂いてます、春ちゃんが可愛いです。
気になる点
少し重苦しいです、もう少しお兄ちゃんと春ちゃんとのイチャイチャした会話が読みたいです。
一言
春ちゃんとお兄ちゃんが幸せになれる事を願いながらこれからも読み続けます。
頑張って下さい。
△△△
「ああああ、遂に感想書いちゃったああああああ、大丈夫だよね? バレないよね? 名前も『太陽ちゃん』にしたし」
私は何度も読み返しミスが無いか確認した。
私達しか知らない事なんて書いたらもろバレだし、うん大丈夫!
兄ちゃんの小説には既に何件か感想が書かれている。
そして兄ちゃんはその全てに返信している。
「兄ちゃん私にも返信するのかな?」
そして何て書かれるのか? 私は気になって仕方がなく、それから夜まで何度もスマホを更新していた。
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