ツンデレ魔王女様の勇者育成計画

第6話 特訓

「あ、アイリス......流石にアーランくんが可哀想じゃない？」

「あらそう？ ならそろそろやめてあげようかしらね」

「はぁ、はぁ、ぜぇぜぇ、し、しぬ」

　シルファ先生から開放されたあと俺はサーシャの訓練という名目で訓練場に連れてこられアイリスの魔法の的にされていた。

　かなり容赦なく狙ってくるので必死に闇魔法で受け流したり、強化した体で避けたりとかなりギリギリの耐えを見せていた。

「さて、ここからはサーシャの訓練ね、サーシャはあまり魔力が多くないし魔法というよりは身体強化の方に重きを置いて教えてあげるわ」

「お、お願いします」

「まず魔力で行う身体強化は2種類あるの、日常的に使い続けることができる循環強化と瞬発的や魔力の続く限りできる限定強化の2個があるの」

　循環強化は魔力を血液のように体に巡らせ続けることで基礎身体能力を向上させるのだ。

　そして、一般的に魔力強化と言われているのは限定強化の方で、魔力を消費することで体を強固にしたり瞬発的に脅威的な力を得ることが出来る。

「まあ、色々応用はあるけど覚えなきゃ行けない基礎はこれくらいかしら」

「む、難しいです......」

「まあ、できるようになると効果が体感しやすい物だから気分はいいと思うわよ、で？アーランあなたはいつまでそこでへばってるの？」

「か、勘弁してくれ」

　先程からサーシャに付きっきりで教えていたので俺は休憩できていたのだが怒りの矛先は再びを俺を狙っているらしい。

「......ねぇ、シルファ先生の胸はどうだったの？」

「え？」

「正直に言いなさい、どうだったの？」

「とても、良かったです」

「......」

　いつもの冷静な落ち着いた顔が一瞬剥がれ落ちむくれっつらをこちらへ向けてくる。

　機嫌が悪いぞと俺に示すかのように見せつけてくるその顔は可愛くて映像水晶で保存したいくらいなのだが、殺されてしまうのでご機嫌取りを始めよう。

「いやぁ、でもアイリスの膝枕の方が良かったなぁ」

「......あからさまね、でも許してあげるわ」

　一流のアイリスおだて役の俺はここで喜ばない、ここで喜べばまた魔法が飛んでくるのは明白だからだ。

　最初は少しストレスが溜まるアイリスとの生活も慣れてしまえばそこまで苦に感じない。

「で、できるようになりました！」

「あら、案外早かったわね」

「早いな」

　サーシャは思わぬ所で才能が開花したのか魔力強化の修得が早かった。

　この調子ならそこら辺の学生より強くなるのに時間はかからないのではないだろうか。

　サーシャの成長が楽しみだ。