第10話「遺跡図書館トート・中編」
「……………よ」
「……よ?」
「ようこそっ!周りどころか本人にもバレっバレな好意を隠してるつもりのツンデレ魔王ニーズヘッグと、優しさと偽ってすっとぼけるポンコツヘタレ魔導師、災い起こしのアルシア・ラグド!改めて………っ、我が領域、神造超巨大神器・遺跡図書館トートへ、ウェルカッッッッム!!!」
「アルシア帰るわよ。」
「そうだな分かった。」
ニーザと仲良く色々な意味で顔真っ赤+こめかみをひくつかせて速攻で帰る支度をする。
駄目だ。如何に偉大な神の
諦めて他の手段を探ろう。
ついでにこんなガラクタ、龍脈とクロノスの力を駆使して封印してしまおう。
「ストップ!ストーーーーーーップ?!ウソウソ、悪かった!ジャストアモーーーーーーーメンッッ!!」
◆◆◆
「やー失敬失敬。久々に他人との交流をした物だからついつい悪ふざけを働いてしまった……。しかし、後悔など……っ、ない!!」
「うるせぇぞトート。二度と動けねえ様に空間隔離と龍脈で封印するぞ。」
「ふっ。いいのかな少年?そんな事をすれば二度と我が無限の書物を読み漁る事など………」
「別にいいぞ。デメリットのが明らかにデカいし。」
「………………。」
「………………。」
「悪かった。本題に入ろう。」
俺が本気だと悟ったのだろう。仮面をした燕尾服の男、トート神はおちゃらけた顔を真面目な表情に変えた。
この投写された映像の男の名はトート。
知恵の神、トートの端末体であり、下界で起きた全ての出来事を記録、管理する者だ。
感情を持てば追放されるのが神なのだが、トート神の本体はこの端末体を完全に切り離して、それを無かった事にしたのだとか。
このおちゃらけた神を見ると、感情を抱いた神の追放判定とやらは案外間違ってないのかもしれない。
「最初からそうすればいいのよ。破壊………はマズいから浸水レベルまでハチミツ流し込むのを本気で考えたわ。」
「え、やめて?私の大事な書庫をベトベトにしないで?お願い?」
「………本題に入るわよ、トート。アタシ達は――」
「勿論知っているとも。だが……、先に言わせてもらおう。私が話せる内容はそこまで多くはない。」
「知らないって事?」
「いや、知っている。話せないだけだ。」
「……開示情報制限。神界にとって都合の悪い事が絡んでる、って事ね?」
「すまんが、そういう事だレディー。君達にとって、一部はどうでもいい話なんだがな……。」
申し訳無さそうに肩を竦めるトート。
これ以上言っても仕方ないだろう。
俺は気になった事を口にした。
「掛かってるロックは?」
「君達、高位魔族が生まれる少し前……、それと炎神スルトが掛けた内容に纒わる物だ。」
「……そうか。」
一瞬、スルトがここに来たのか?と聞きたかったが、下手に踏み込むとエラーを発生させかねない。
ギリギリで踏みとどまる。
そこで、トートが口を開いた。
「エラー制限は3回。すべて踏み抜けば強制シャットダウンによりここは1年は使えなくなる。なので、軽めの質問からしていく事を薦めるよ?」
「……すまんな。アドバイス、助かる。」
「構わんよ。寧ろせっかくご足労いただいたのに申し訳ない。それともう1つ。ぼかして伝えよう。」
「……教えてくれ。」
「一部を除き、私が話せない事と君達が追っている事件は繋がりがある。」
「それだけ答えてくれるだけでも充分だ。」
恐らくだが、一部とは俺が夢で見たあの3人に関わる事だろう。
何となくだが、彼らのあのやり取りは今回の事に直接は関係が無い。
ニーザの方を見ると、黙って頷いた。
俺に聞けと言うことだろう。
俺は改めて、仮面をした神に向き直った。
「俺が知りたいのは…………」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます