第15話「久々の4人での会話」

翌日………。

ニーザ達と合流した屋上庭園で俺とフレスは出掛ける準備をしていた。

防寒装備のマント、携帯食料などを次々と収納魔法に仕舞っていく。


「行き先はスノーヴェール雪山じゃったな?」

「ああ。行き帰りで3日はかかる。アリスの事は任せたぞ。」

「汝に言われるまでもない。妾がしっかりと修行をつけてやるでの。」

「ちょっと、フェンリル。アタシもいるんだから忘れるんじゃないわよ。ね、アリス?」

「はい!フェンリルさんとニーザちゃんもいるので、アルシアさんとフレスさんも気を付けて行ってきてください!」


昨夜の内にこちらも大分打ち解けたらしい。

ニーザに関しては歳の近い友達感覚で接しているようだ。


「だそうだ。俺も準備出来たし、そっちは?」

「問題ない。」


そう言って、本来の純白の大鷲の姿に戻ったフレスは俺の隣で姿勢を低くした。乗れという事だろう。

俺はフレスに礼を言ってから、その背に乗る。


「じゃあ行ってくる。フリード。結界は起動してるが、何か問題があったら帰ってきてから教えてくれ。それと、何かあったらフェンリルかニーザに伝えて欲しい。俺かフレスに念話で伝えてくれるから。」

「分かった!アルシアもフレスも気を付けて行ってきてくれ!!」


見送ってくれている皆に軽く手で合図をして、俺はフレスと共に飛び立った。




◆◆◆


ファルゼア城を発ってから早半日、辺りが暗闇に包まれ始めたので俺達は途中、村を見つけたのでそこで宿を取ることにした。

初めは野宿も考えたが、しっかりした食事と睡眠を取れるならそれに越した事はない。

人の姿に戻ったフレスと共に一部屋借りて、ベッドの上に大の字で寝転がる。


「すまない。金を払わせるつもりは無かったんだがな……。」

「別にいいよ。知らない仲じゃないし、金なんて腐る程ある。何より、2000年も魔族退治をニーザと2人でやってくれてたんだからな。これくらいじゃ安いもんだ。」

「……そうだな。君があんな真似をしなければ、ニーザと私……2人でなんて真似をしなくて済んだのだ。」


初めは申し訳無さそうにしていたフレスだが、俺が冗談を交えて気にするなと返すと、いつもの調子に戻って冗談で返すので「うっせ。」とだけ返す。


「念話で確認取ったが、そろそろだよな?」

「ああ。向こうもこの時間には間に合わせると言っていたし………、と噂をすれば何とやらだ。」

『準備は出来た。そっちはもうよいのか?』


フェンリルの声が念話で届いたので「いいぞ。」と返して起き上がり、通信魔法を発動する。


映像にはフェンリルとニーザが2人映っていた。


『そっちは……宿か?』

「ああ。移動距離的にも丁度いい位置にあってな。これなら、明日の昼前には着く。アリスの方は?」


始めたばかりだし、すぐにどうにかなる物ではない。聞くような内容ではないかと一瞬思ったが、フェンリルは緩く笑って小さく頷いた。


『あの子なら問題ない。時間がかかるかと思ったが、コツを教えたらすぐに魔力と神力を分けて使える様になった。人間とは中々物覚えがよいの?』

「もう出来たのか?速いな……。」

『言っても、実践で使うにはまだまだ。本人がやる気だから、明日はその辺の復習もしつつ、朝からアタシとフェンリルで交代交代でアリスと模擬戦やって、神術と魔法の感覚を慣らしていくわ。』


俺が驚いていると、ニーザは明日の予定を軽く教えてくれた。

俺達が帰ってきてもまだ分けるので苦戦してるだろうと思ったが、それを良い意味で裏切ってくれたらしい。

イヴの聖杖を渡したのは、やはり間違いではなかったようだ。

そう感慨にふけっていると、フェンリルが口を開いた。


『取り敢えず、アリスも今は疲れて眠っておるし、本題に入らせてもらおうかの。』


フェンリルがそう言うと、俺の横にいるフレスと、映像のニーザの顔が少しばかり険しくなった。


『分かってるわ。の事よね?』


ニーザは表情をそのままに、そう口にした。




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