第14話「武器調達」

「さて、そしたら、戦闘中に使い潰す杖だが……」


別に俺が錬成魔法で大量に作り出す手もあるし、店で大量に買い叩くなりしてもいいが、あまり詰めすぎると今度は収納魔法に魔力を食われて戦闘中に使える魔力が減ってしまう。

後者に関してはアリスの性格を考えると、まずさせてくれなさそうだろう。

さて、どうするか……と考えていると、フリードが手を上げた。


「それなんだけど、杖は僕に任せてもらえないかな。宝物庫に丁度良さそうな物があるし、それをリアドール君に使ってもらおう。」

「へ、陛下!?あの、お気持ちは嬉しいのですが……、私なんかが、そんな……」


やはりと言うか、フリードの申し出をアリスは全力で遠慮した。

しかし、それすら予想していたのだろう。フリードは笑顔を崩すことなく言葉を続ける。


「昨日は僕たちが失礼を働いたんだ。どうせあっても誰も使いこなせなさそうな物だし、ホコリを被って宝物庫の中で腐らせるくらいなら、是非君に持っていって欲しい。」

「でも………。」

「なら、アリス・リアドール。これは国王命令だ。………持っていってくれるね?」


いたずらっぽく笑っているが、職権乱用にも程がある。

アリスも大慌てで「ありがたくいただきます!」と返した。

何を用意するのかは知らないが、取り敢えず杖の問題が解決するだろうから良しとしよう。


「あとは……銃だな。」

「あ、あの……銃までは……高いですし……」


いよいよ目をぐるぐる、わたわたし出したアリスを「遠慮するな。」と宥めて思案する。

ここまでやったのだ。徹底的に彼女を武装面でも強化するのも悪くない。


「一番確実なのはヴェルンドの村のドワーフに頼んで作ってもらう事だが……神力に対応する金属の加工だから大分時間が掛かりそうだな……」


通常の魔法ではなく、神術に耐えきれる銃の精製となると、パーツ全てを特殊な金属で1から作らなければならない。

1年くらいは掛かっても不思議ではないだろう。

何より、その特殊な金属の精製方法が困難を極めるレベルなのだ。

色々収納魔法に入れてる俺でも、アレは持っていない。


「そう言えば、リアドール君は銃はあまり壊さないみたいだけど、それはどうしてなんだい?」

「あまり使わない様にしてるからではないでしょうか。買うのも高いですし、直すのも高いので……。」


値段の事を言って、げんなりしてからアリスは「今、使ってるのは2代目なんですよ?」と、収納魔法から出して見せてくれた。

ところどころガタは来ているが、壊れる程致命傷でもない。


「魔銃に関しては、弾薬に術式を刻み込んで、撃つ時に魔力を流し込むからな。普段使わない様にしていて、尚且つ力を流し込まれた弾丸自体はその時には撃ち出されてるから、それだけ消耗も少ないのかもしれない。」


なるほどね……と、フリードは一応納得してくれたが、これが正解かは分からない。

何故なら銃は俺達の時代ではそこまでメジャーじゃなかったし、弓の方が強かったからだ。

いくつか例外はあるが、それはそもそも、現存してるかすら怪しい。

フリードに銃の調達をお願い……とも考えたが、よくよく考えれば彼は国王だ。頼めばくれるかもしれないし、探せる範囲で探してくれるかもしれないが、会って1日程度の彼にそこまで頼るわけにもいかないだろう。


「やっぱり、ドワーフ達に頼むか……。仕事を早めてもらう手も、あるにはあるし……。」


そう言った時だった。


「いや……、銃なら私に宛てがある。フェンリルとニーザはリアドール君の修行に付き合ってくれ。アルシアは私と来い。」


一番銃などと縁の無いであろうフレスが名乗り出たのは。


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