第5話「結界装置の作成」
「さて……先生は自分の世界に入っちゃったし、作業を始めるか。」
俺はまず必要な大きさを魔石に直接書き込んでから切断魔法で切り出し、それぞれに術式を書き込んでから、嵌め込んでいくだけの受信装置から完成させていく。
続いて発生装置の台座だが、台座自体は何でもいいので、収納魔法に入れておいたオリハルコン合金を引っ張り出して、火の魔眼と加工魔法を駆使して手早く加工。
これで半分は完成だ。
「あとはアンカーは……コレでいいか。」
龍脈に撃ち込んで魔力供給をする為の手頃な物が存在しなかったので、魔石と一緒に回収した海竜王の背骨と、先程話したドワーフ達に貰った魔力吸収合金を混ぜ合わせてアンカーを作り出して発生装置に取り付けたあと、勝手に城に穴を開ける訳にもいかないので、フェンリルに頼んでアンカーの先を持ってもらい動作確認目的で5%の出力で起動する。
うん、問題ないようだ。
「サンキュー、フェンリル。」
「普段ならば妾を龍脈代わりにした事に文句を言うところだが、今回ばかりは仕方ないか……。」
「ニーザの手が空いてればニーザに頼んだよ。魔力オバケだし。って訳で出来たぞ。使わなかったとしても無駄ではないだろうから適当に倉庫にでも放り込んでおいてくれ。」
「コレだけで我が国の宝物庫の中身が半分以上は霞そうな物ですが………、ありがとうございます。一度保管した後、陛下と話し合ってから設置していこうと思います。陛下も嫌とは言いますまい。」
ノーデンはそう言って宮廷魔導師に運ぶ指示を出した。
たしかに、結界の起動の事を考えれば彼らの方が適任だろう。
「あとは…、魔石と素材も余っちゃったし……ノーデンさん。家族はどちらに?」
「え?城下に住んでいますが、一体………」
「少し待っててくれ。」
これだけ余ってても使わないので、魔石と残りの素材も加工して、出来た魔道具一式をノーデンに渡す。
「家に置く小型の結界装置と、護符を織り込んだ首飾りだ。結界装置は家に置いて、護符の方はノーデンさんが持ってくれ。大体の危険な事からは守ってくれるはずだ。」
「………ありがとうございます!ですが……いいんですか?」
「今日一日、世話になったからな。」
遠慮がちに手が伸ばされるのでそう返してそれらを渡すと、今度は不思議そうな顔で見られた。
見ると、他の者達も同様だ。
「どうした?」
「いえ、その、アルシア殿が……何故破壊神などと呼ばれていたのか、まったく分からなくなってしまいましたので。フェンリル殿達は魔族の方々なので分かるのですが、アルシア殿に関しては接してると、決してそのような方には到底思えないものですから……」
ノーデンの言葉に全員が頷いた。
伝承とやらの中で俺はどれだけ悪逆非道な存在扱いされてるのだろう……。
「あー……。それは、たぶん……うん、アレだな。いずれ話すよ。話す必要はあるだろうし。」
俺が破壊神などと言われてるのはヴォルフラムの仕業で間違いないだろうが、こればかりはあながち間違いでもない。
現に、それに関しては巻き込まれた側であるフェンリルがジト目でこちらを見てきてるのだから。
「間違いではない……?それは一体……。」
「まあ、そんな事よりもだ。2つ目のお願いだが……闘技場を貸してほしい。」
強引に話を変えた挙げ句、いきなり闘技場を貸せと言い出した俺にノーデンはキョトンとした顔で俺を見た。
「それは構いませんが………誰かと戦われるのですか?フェンリル殿やニーズヘッグ殿達と?」
その問いに「いや。」と答えて、俺はこの場にいる人物に視線を向けた。
俺に見られたことで、その人物は何かを察したらしく、驚いた顔をしている。
だが、俺は構うことなくその少女に声をかけた。
「アリス、俺と戦ってくれ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます