第11話 怪談殺しちゃん
case1. 覗く顔
「……それでね、夜中、眠れずにいたら、外に気配を感じたんだ。開けちゃいけないって直感的に思ったんだけど、それでも気になって仕方がなくて、思い切ってぱっとベランダのカーテンを開けたんだよ。そしたらそこに、女性の顔があったんだ! 手すりの向こうから首だけ出して、こっちを見てたんだよ。でもね、そんなことあり得ないんだ、だって、その部屋、二十階なんだぜ……」
男の話を聞いて、かわいこちゃんは言った。
「えーっ、怖い……。幽霊だよね間違いなく」
男の話を聞いて、怪談殺しちゃんは言った。
「つまりその女の人は、首がすごく長かったってこと? キリンみたいに……」
case2. スキマの男
「……で、帰りに一人きりで、夜道を歩いてたんですよ。何気なくぱっと横を見たら、電柱と自動販売機の間に、男性が立ってるんです。何してるのかなって疑問に思いつつも、見ちゃいけないような気がして、そのまま通り過ぎました。翌朝に見たら、いなかったんですけど、でも、おかしいんですよね。そこの隙間って、幅が五センチくらいしかないんですよ。人間が入れるはずないんです…」
女の話を聞いて、かわいこちゃんは言った。
「うそ……あり得ないじゃんそんなの。人間じゃないよ。地縛霊か何かなのかな…?」
女の話を聞いて、怪談殺しちゃんは言った。
「そんなに細いと、家具の隙間にものを落としたとき、便利だよね……」
case3. 元カノからの電話
「……その女性が病的なまでに愛情を向けてくるから、彼氏の人、疲れちゃって、別れることにしたんですよ。でも、彼氏と別れてからも、その女性は何度も電話してきたんです。『考え直して。よりを戻して』ってしつこく、一ヶ月も続けてですよ。当然、彼氏は受け入れなくて、途中から電話にも出ないようにしたんです。だけどね、おかしいんですよ。あとでわかったんですけど、その女性、彼と別れた日に自殺してたんです……」
男の話を聞いて、かわいこちゃんは言った。
「そんな……幽霊になって、電話してたってことでしょ…」
男の話を聞いて、怪談殺しちゃんは言った。
「なんて慎ましい女性なのかしら。幽霊になったなら、直接彼に会いに行けばいいのに……」
case4. 恐怖の女
「怪談仲間の間で、最近噂になってる女性がいるんです。その人の前で怪談を話すと、オチを全部ぶちこわしにされちゃうって。幽霊よりも怖いですよ、ある意味……」
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