第6話 地獄アンケート
こんにちは。閻魔通信社の凶ちゃんです。
我が閻魔通信社はこのほど、地獄庁からの委託業務の一環として、地獄に落ちた方々を対象にアンケートを実施しました。
地獄の存在は広く知られているところですが、その内実については公表されていない部分も多く、生者の方々には縁遠い場所として映っているようです。全国の生者を対象に聞き取り調査を行ったところ、次のようなデータが得られました(結果をわかりやすく示すため、代表的な意見をランキング形式でご紹介いたします)。
Q1.地獄に対してどのような印象を持っていますか。
第3位 グロい
第2位 暗い
第1位 怖い
Q2.地獄に行ってみたいと思いますか。
第3位 あまり行きたくない
第2位 まったく行きたくない
第1位 絶対に行きたくない
地獄に対してネガティブなイメージが先行している事実が、調査から明らかになりました。予想どおり、と受け止められた方も多いかもしれません。こうしたイメージの払拭を図るため、地獄庁は今年度より、「開かれた地獄」をキーワードに、生者の関心を集めたいと考えています。そこで、地獄に落ちた方々の中から、一万人にアンケートのご協力をいただき、地獄生活の意識調査を行いました。
地獄を知るうえでのご参考にしていただければ幸いです。
Q1.地獄での生活をどう感じていますか。
第3位 思ったよりも地獄
第2位 マジ地獄
第1位 回答なし
第1位はまさかの「回答なし」でした。割合としておよそ半数に上ります。調査班はこの結果について、「地獄すぎて回答できないのではないか」との見方を示しています。
以後のランキングについては、回答のあった範囲での順位を発表いたします。
Q2.地獄での生活で、一番辛いのは何ですか。
第3位 血の池地獄が熱い
第2位 針の山を登るときが痛い
第1位 鬼のワキガがくさい
Q3.どうして地獄に来たんですか。
第3位 金やものを盗んだから
第2位 人を殺したから
第1位 友人に勧められたから
Q4.地獄で楽しいことは何ですか。
第3位 三途の川の見学
第2位 学校も試験も何もないこと
第1位 蜘蛛の糸を登ろうとする者を引きずり下ろすこと
地獄の現場で日々働いている獄卒の方々にも、アンケートにご協力いただきました。
獄卒とは、地獄に落ちた方々の指導・管理・虐待を行う仕事です。
地獄に落ちた方々に理由もなく暴力を振るってみたり、彼らの血液を全部抜いて濃硫酸と入れ替えたり、彼らが楽しみに買っておいたプリンをこっそり食べたりします。地獄に落ちた方々との間で、トラブルも起こるようですが、地獄に落ちた方々は土台クソ野郎なので、反抗的な態度のある方に対して獄卒は一方的に、暴虐・陵辱・蹂躙の限りを尽くします。とても苦労の多い仕事です。
獄卒には妖怪や怨霊、モンスターなどもいますが、大半は鬼です。獄卒のうち、実に九十五パーセントが鬼なのです。鬼の就職先としても獄卒は一番人気で、獄卒=「鬼の仕事」、という地獄の現状が見て取れます。
アンケートの中から、一問をご紹介いたします。
(番外)獄卒へのアンケート
Q.獄卒としての仕事をどう感じていますか。
第3位 鬼忙しくて困っている
第2位 鬼稼げるので続けていきたい
第1位 仕事中は鬼嫁から逃れられて気が楽だ
いかがでしたでしょうか。閻魔通信社は今後も、地獄庁との連携のもと、耳寄りな地獄情報を皆さんに提供していく予定です。ダーティなイメージを抱かれる場所ではありますが、今回いただいたアンケートの中には、「アットホームな雰囲気で楽しく過ごせます」「大学の友達とサークル気分で参加できます」など、地獄に落ちたとは思えないほど明るい声も数多くありました。
「リピーターになるつもりだ」というお声も多く寄せられており、調査班としても喜ばしく受け止めています。そんな声があるわけないって?
では、最後に一問をご紹介して、報告を終えたいと思います。
Q5.地獄から抜け出たら何をしますか。
第3位 真っ当に働く
第2位 仏の道に入る
第1位 もう一度地獄に落ちて鬼をぶっ殺す
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