第14話 深夜の求愛
「ヨシオ……愛してる……」
初めは、空耳だと思いました。
夜中にテレビを観ていたら、声が聞こえたんです。
若い女の声でした。あるいは家の外の道で、誰かが喋ってるのかとも思いました。
「ヨシオ……愛してるわ……」
さっきよりもくっきりと聞こえました。
俺の部屋は四階にあって、隣の部屋はちょうどそのとき、誰も住んでいませんでした。だけどまるで、すぐそばから聞こえたような気がしたんです。俺は一人暮らしだし、自慢じゃないけど連れ込むような女もいません。
その声も、まるで聞き覚えのないものでした。
「ヨシオ……あなたを愛してるのよ!」
今度は耳元で聞こえました。
たまらず俺は飛び上がりました。当然、誰もいません。風呂もトイレもクローゼットもベッドの下も、確認したけどどこにもいません。
「ヨシオ…こんなに、こんなに愛してるのに!」
突然電気が消えました。
部屋が真っ暗になりました。
すぐにパソコンの画面だけがぱっとオンになりました。
文章入力の画面が開かれて、そこにはただひたすら、
「ヨシオ、愛してる。ヨシオ、愛してる。ヨシオ、愛してる。ヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してるヨシオ愛してる」
って、ばーっと書き連ねられていました。
信じられませんでした。俺は震え上がりましたよ……。
だって……俺……。
ヨシオじゃないし。
「人違いですよ」って俺が呟いたら、文字が一瞬で全部消えました。
「すみませんでした」って、最後にぼそっと聞こえました。
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