第3話 俺のモテ期は終わりです。

俺は今。さっきギルドであった可愛い子にお姫様抱っこをされて冒険者たちから逃げている。


「なぁ、なんで俺を逃がしてるんだ…?魔族だぞ…?」


「話は後です!とりあえずその切れた右足の血を止めてください!追っ手を振りきれません!」


魔族の体は魔力を流せば簡単に腕を生やしたりくっ付けたりできるほど修復力が高い。


とりあえず集中して止血しよう。

……


集中してノアの顔を見るとさらに可愛いな……

ジーーーーーーーーー


「あんまり見ないでください!」


「見てないよ!」


「見てるじゃないですか!ってそんな事してる場合じゃありません!」



俺は自分の足を見てみる。

傷はもう塞がっている。


「止血は終わったぞ…」


「じゃあ細い道に入って適当な屋根に登りますね。」


屋根……ね。女の子にお姫様抱っこされながら屋根に上る日が来るなんて思ってもみなかったよ。


俺はノアに連れられ近くの家の屋根に上る。



屋根の上で足を伸ばして隣り合って座って風を感じている。


涼しいな。今はあっちの世界で言う6月7月あたりだろうか。


この世界にはカレンダーも時計も無くて不便だな…………


「それで、あなたはなんで魔族なのに王都にいるんですか?どこで生まれてきたんです?」


ノアが唐突に質問を投げかけてくる。


もう少しゆっくり風を感じていたいものだ。


「その前に俺の質問の方が先だ。なんで俺を助けたんだ…?魔族だぞ。」


するとノアは空をじっと見上げて


「ルクス、あなたは良い魔族だ。人を意味無く殺したりしない。」


と、つぶやくように言った。


「まるで人間みたいだ。」


「人間になりたい魔族って感じがする。」


「分かるなぁ、その気持ち。」


「実は私、男なの。」


ふーんノアが男…………………………

ん?

え?

あ。

そーゆー感じ?

あ、そ、ふーん

俺は男の女装に発情してたバカってことになるがそれでいいのか。

いやでも多様性……なんて言葉異世界にはないか。

いや、まぁまず……


「なんで女装してるんだ?」

と俺は聞く。するとノアは少し悲しい顔をして


「事情がある。だけしか今は言えないかな。いや言いたくない。それじゃダメかな」


「そうか、分かった。じゃあ俺も言いたくない。で通らないか?」


ノアはムッとした顔をして

「私は1つ答えたんですから!ルクスも1つ答えてください!」



俺は少し考えてから言った。


「俺が王都にいる理由は人間と魔族を仲良くさせるため」本当は人間にチヤホヤされたいだけだが……


「って回答でいいか?」


「いいですね……人間と魔族がまた仲良くする……」


「いつか見てみたいですね。そんな世界を。」


ノアのその目には少し涙が溜まっていた。

なぜ? いや、深くは聞かないでおくか。


「で、ルクスはこの後どうするつもりなの?」


「それは、宿屋をとってだな…」


「こんなに追われてるのに?」


「私の家なら王都から離れた場所にあるけどどうする?」


「風魔法で空を飛んで王都を抜けれるしね!」


「じゃあお邪魔しようかな」


するとノアは立ち上がり俺をお姫様抱っこした。

おいまたかよ。

男にお姫様抱っこでも……

でも全部が女の子みたいだ……

感触も匂いも…………


ま、可愛けりゃいっか!


「じゃ、飛びますよー」


僕たちの体はフワッと浮き上がり、風をうけて家のあるであろう方へと向かっていく

風が気持ちいいな…………

とても涼しい。


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異世界ライフを楽しみたいけど魔族に転生してそれどころじゃ無いんだが 西条三日月 @tadanosyousetukaki

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