第39話 プランB
ガタガタと機材が震え、人もレギニカもバランスを崩す者が続出する。
「何だ!?」
姿勢を取り戻した者たちが前方ガラスを見ると、カブラギの船として表示されていた場所がチカリと光った。
そこから一瞬といえる速度で、何かが突っ込んでくる。
直撃し、激しい衝撃と共に再び建物が大きく揺れた。
「うおおっ……!」
「砲弾です! ……気付かれた! この状態で小型飛行機なんて出せば、撃ち落とされますよ……!」
「じゃあ、どうする!?」
「っ!」
立ち上がって操作パネルへ駆け寄ったフラムナトは、鍵盤を叩くような速さで宇宙船を動かし始める。
3度目の砲弾が発射される前に、何かの装置を起動させた。
直後、カブラギの船がチカリと光を放つ。
すると超高速で飛んできた砲弾が、宇宙船の目の前で爆発した。
轟音と多少の揺れは感じるが、船への直撃はしていない。
フラムナトはさらにパネルを操作した。
ゴウンという、船全体が動くような重い音が鳴る。
駆動音が増幅し、カブラギの船との距離が徐々に縮まり始めた。
「気付かれたのなら、速度を気にする必要はありません。一気に接近します!」
船は加速し続け、船が段々と大きく見えてくる。
やはり、こちらの船の何倍も大きい。
ガラスを覆い尽くすほどの大きさに、一同が息を呑むのを感じた。
「小型飛行機による接近は沙汰やみに。『プランB』へ移行します!」
「『プランB』?」
千帆の呟きをかき消すように、再び船全体が動くような音が響く。
見ると、宇宙船が巨大な
パネルを叩きながら、フラムナトが解説する。
「この船には地形に穴を開ける……
「これを使うって……まさか」
「はい。船体に穴を開けます……!」
そう言ってスイッチを強く押下すると、突き出した巨大な
鋭い切っ先が、鈍い銀色をしたカブラギの船の外装へ近付いていく。
「衝撃に備えてください!」
フラムナトが叫んでから、1秒もなかった。
――――――――――ッッッ!!!
砲弾を受けた時よりも遥かに強い衝撃が、船内を激しく揺さぶってきた。
破砕音が響き、音と振動の2方向から一同を襲う。
振動は弱まれど無くならず、ひたすら外壁を削り続ける
「ぐっ……!」
数分か。それとも数十分か。
時間を忘れるほど必死に耐えていたその時。
ばぎゃあんっ!
ひときわ甲高い音が鼓膜を突いたかと思えば、振動が一気に収まった。
音もなくなり、耳を塞いで屈んでいた一同が何事かと立ち上がる。
「これは……」
前面のガラスを見た叶瀬が、驚嘆の声を漏らした。
どうやら外壁を突き抜け、船ごと船内に侵入することができたようである。
だが、しかし……。
ガラスから見える景色は、どこまでも広がるジャングルのような場所であった。
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