第27話 誘導作戦
レギニカに出くわすことなく廊下を歩き続けていると、7人の隊員達は2階へ続く階段を発見した。
美優が通信機を起動させ、烏賊田に報告する。
「階段、見つけたわよ」
「そっちが『当たり』だったか。すぐに行く」
「待ってください」
合流するべく踵を返そうとした烏賊田を、割り込んできたフラムナトの通信が食い止めた。
画面の向こう側で、フラムナトが何かを睨みながら報告する。
「私達も先ほど、階段を見つけました。ですが……2階には、大量のレギニカが固まっていますね」
『ファーザー』のある場所を守るためなのだろうか。
美優たちも耳を澄ませてみると、階段の上から物音が聞こえることに気が付いた。
その報告を聞いた烏賊田は戻るのをやめ、次なる指示を美優へ出す。
彼からの指示を聞いていた美優が突然、「ええっ!?」と驚愕の大声を発した。
通信を切った後、彼女は困惑の表情で隊員達に振り返る。
「『今からレギニカをおびき寄せるから、フラムナトにもらった迷彩装置を使って2階へ行け』……だって」
烏賊田の出した指示は、彼らが囮になることであった。
通信を切った烏賊田が、手首のデバイスを操作し始める。
樋口や郡山も追従してデバイスを操作し、戦闘機体の準備を始めた。
「烏賊田さん。分かれ道の時に俺たちを選んだのは、まさか
困ったように尋ねる郡山へ、烏賊田は何のことはないように頷く。
「まあ、そんなところだ。大勢のレギニカを相手するなら、お前らが一番強いからな」
「マジっすかぁー……」
苦笑いと共にため息を吐きながら、戦闘機体を起動させた。
どこからともなく出現した金属部品が音を立てて組み立てられ、彼らの全身を覆い尽くす。
がしん! と大きな音を立てて組み立て終わると、重さに反応してカウントが始まった。
やけに大きく無機質なその音に、思わず唾を飲む。
カウント音が5回鳴った、その瞬間。
ヴゥーン!
ヴゥーン!
サイレンのような警告音がけたたましく鳴り響き、建物内の電気が一瞬だけ赤く染まった。
と同時に、上から激しい振動が伝わってくる。
「来るぞ。備えろよ!」
戦闘機体の大きな拳を打ち合わせ、中の烏賊田はかかってこいと言わんばかりに不敵な笑みを作った。
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