Extra part.006 【side:天笠実乃】-傍に、居たいな-

「…ねえ、伶衣ちゃん」

 常夜灯が灯る部屋で、寝転んでいる伶衣ちゃんに声をかける。

「どうしたの?」

「…その、さ、彼方くんと…一緒に寝ても…良い?」

「………まあ、あまっちなら何もしなさそうだし…いいよ」

「本当?ありがとね、伶衣ちゃん。じゃあ、行ってくるね」

「うん」

 そう言って、枕を抱き抱えて伶衣ちゃんの部屋を出る。廊下の人感センサー付きライトが点灯し、暗い部屋に慣れていた目を少し眩ませる。

 …彼方くん、ドア開きっ放しなんだ…。

「…彼方くん、起きてる?」

 ドア枠の近くに立って、ベッドに仰向けになったまま、天井に向かって手を伸ばす彼方くんに声をかける。

「ん?…あぁ、起きてますよ」

 そう言って、起き上がって私の方を見る彼方くん。

「何でかな、眠れなくて」

 何でかは分からないけれど、目が冴えたまま。

「そうなんですか。…翔君の事が心配とかですか?」

「ううん。翔は今、実家に帰ってるから」

「そうですか。…じゃあなんでですかね?」

「…好きな人の家、だからなのかな」

 …好きな人と、一緒に寝れるから?そう思ったから、眠れなくなったのかな。



「…ドア、閉めてきますね」

 そう言って、彼方くんは起き上がろうとする。

 …すぐ戻って来るから、止めなくても良いはずなのに、体が、脳が、意識と一時的に乖離して、勝手に動いてしまう。

「だめ…」

 肩を掴んで、ベッドへと引き戻してしまった。彼方くんも、抵抗するように力を込めていた。

「…今は、今だけは…傍に居て…?」

 考えていないのに、そんな言葉が口から紡がれる。

「…分かりました」

 彼方くんはそう言って、抵抗する力を抜いた。

 …それから、しばらく話して、私と彼方くんは眠りに就いた。


――――――――

作者's つぶやき:なんか、【side:】のお話はあまっちが多いような気がしますね。

あ、【side:】のお話はExtra partこっちで書かせて頂きます。

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