第3章 ふたたびダンジョン生活
第32話 新しい仲間
異世界26日目 俺のダンジョン入口にて
冷た!
気がつくと俺はクリュティエやミスティ、ノーラ婆さんと一緒に元のダンジョンの入口に横たわっていた。
危ないな。
真夜中のダンジョンとはいえ、攻略者がいないとも限らない。
「おい、みんな起きろ!」
声を掛けて3人を起こし、手を引っ張るようにして奥の執務室まで歩く。
執務室のドアをゆっくりと開けると、むっとカビくさい匂いが鼻腔に入ってくる。
ベッドに近寄ると、キノコが生えているのを見つける。
ベッドからキノコの生えた毛布をはぎ取った俺は、すぐに背負い袋に入っている毛布と交換する。
その毛布をベッドに敷き直し、その上にダイブするように倒れ込む。
気がつくと、ベッドの下に2匹の角モグラが顔を出していて、俺が帰ってきたことを喜んでくれていた。
俺は角モグラたちに入口の警戒を頼むと、二匹はこくこくと頷き、地面に潜っていいく。
また、擬態スライムにもダンジョンの途中で行き止まりに見えるように土壁に擬態してほしいと頼み込む。
スライムはゆっくりとドアから出て行った。
その様子を頼もしく思った俺は、ようやく目を瞑って一眠りをすることにする。
§
かなり長い間、眠っていたらしい。
俺が起きる頃、クリュティエたちはとっくに目を覚ましており、俺のベッドの横で足をブラブラさせたまま会話を楽しんでいた。
気がつけば、いつもの日常が戻っているのだった。
帰ってきた俺がまず取り組んだことは、仲間を増やすことについてだった。
誰にも攻略できないダンジョンにしたかったし、せめてダンジョンにいる間だけでものんびりできるようにしたい。
早速ダンジョンマップを頭の中に思い浮かべる。
頭の中の方眼紙には味方の白い光点が15個、光っていた。
無限に増えていくわけではないのか……。
ノーラ婆さんに尋ねると、ダンジョンマスターのレベルによって違うらしい。
ダンジョンマスターのレベルはF~Sまであり、敵ダンジョンを攻略したり、侵入者を倒したりすることで上がっていくとのことだった。
「マスターのレベルはEクラス。下から2番目だからモンスターは15体まで所持できるのさ。レベルが1つ上がるにしたがって、5匹ずつ所持数が増えることになるねえ」
また、規定量まで増えるとモンスターは自然発生しなくなるらしい。
強いモンスターと入れ替えるためには、必要のなくなったモンスターを解放して、所持枠に空きを作っておく必要があるそうだ。
「じゃあ、早速やってみるか」
俺が今思い描いている計画には、あるモンスターが必要不可欠なのだ。
ゼニスに確認したところ、ゼニスがよく行く町のモンスター売り場では見かけないということだった。
「あのモンスターはめっちゃ人気があるんや。出たかて、すぐに売れてまいますわあ」
そりゃそうだよな。
相場だと金貨500枚(5千万)は必要とのことだった。
俺の金庫には、金貨が15枚程度しかない。
「先は長いなあ」
そう思いながら、まず現有戦力を確認することにする。
A級モンスター ミスティ
B級モンスター クリュティエ、ノーラ婆さん
C級モンスター 吸血コウモリ×2、擬態スライム
D級モンスター 角モグラ×2、血まみれコウモリ×4
E級モンスター 洞窟コウモリ×3
コウモリ率高!
こんなにコウモリはいらんだろ!
早速、洞窟コウモリと血まみれコウモリの4匹をリリースする。
そしてすぐにノーラ婆さんに召喚をお願いする。
「久々だからのう」
そう言いながら、召喚師らしい構えになる。
しかも、買ってきた杖を使っているから、これは期待できるかも!
どん! と白い煙が出て久々に視界が遮られる。
その煙が薄れる頃、一匹の狼が現れた。
「ほう。灰色狼だねえ。C級モンスターじゃよ」
中々強そうだな。
俺は早速、そのステータスを確認する。
灰色狼 体力15 力強さ4 魔法0 技量(攻)12/24 (防)8/24
習得魔法 なし
特殊攻撃 吼える(相手を恐れさせる) 8/24
ふむ。
こいつは連絡にも攻撃にも仕えそうな奴だな。
「よろしく頼むぜ!」
遠吠えで答えてくれたが、ちょっとうるさいな。
その後、自然発生では血まみれコウモリが出現する。
まだ、どハマリは継続中か……。
結局、そのあとはクリュティエ、ミスティとともにスパーリングに汗を流すのだった。
§
そんな風にまったりと過ごし、気がつけば1週間が過ぎていた。
クリュティエのコンサートは満員御礼が続き、ギレンが何度も地上の劇場に来るようとの依頼をよこす。
でも、今のままだと外に出てもあまりメリットはない。
ダンジョンには初級の冒険者だけではなく、中級の冒険者もちらほら見られるようになってきた。
初級の冒険者は灰色狼が噛みついて追っ払ってくれるし、中級冒険者への対応はミスティが大活躍している。
そんな中、ついに俺の求めているモンスターが出現したのだった。
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