第22話 兵士さん、こっちです!
ダンジョン23日目 ダンジョン外の町 お姉さんの店の近く 近くにいる仲間 水の事案
頬を赤らめたクリュティエが服を捲り上げようとしている。
こ、これは……犯罪臭がプンプンするぜ!
クリュティエが俺の手を掴み、
「マスター。少し……大きくなったんです」
そう言いながら触らせようとしてくる。
しかも、下から見上げる表情が……。
こいつ、まだ酔ってんのか?
その瞬間、
「君、ちょっと話を聞かせてもらおうか」
いつの間にか屈強な兵士が俺たちを取り囲んでいた。
1、2、3、4、5、6人も!!
「さっきね。『ょぅ❘゛ょに悪戯しようとしている鬼畜がいます。ほら兵士さん、あの男です』って教えてくれた人がいてね」
いつの間にか、俺とクリュティエの間に兵士が入り込んでいた。
「君。今、ょぅ❘゛ょの胸を触ろうとしてなかった?」
「誤解ですよ。こいつが勝手に俺の手を」
「言い訳はいらない!! 君はいやらしい顔で年端もいかない子の胸を触ろうとしていたね」
聞けよ、話を!!
そんなこと、絶対にしないし、したくもない。
そんなことを書いただけで発禁処分にされるかもしれないんだよ。
俺は完全に男達に取り囲まれていた。
また、クリュティエはクリュティエで兵士たちにいろいろ聞かれていた。
「君とあの男の関係は?」
「はい、あの人はマスター。私のご主人様です!」
「貴様! こんな子を使って奴隷プレイまでしてるのか! この変態め!」
プレイって、してませんよ!
そもそも、こいつ年上ですよ。
「奴隷だからご主人様の〇〇を〇〇しろとか、やってんだろ。この鬼畜野郎!!」
いや、あんたの方がノリノリでしたよ。
願望があるんじゃね?
「詳しい話は、俺たちの詰め所で聞こうか」
そう言うと、俺は手を後ろ手に縛られたまま町の留置場にぶち込まれた。
その後、取調室とかいう小さな部屋で、怖い兵士に詰められた。
机を何度もバンバン叩かれ、俺は鋭い目で睨み付けられる。
「貴様には良心というものがないのか。欲望の赴くままに、ょぅ❘゛ょに性的な虐待をするとは!」
「誤解ですって!! それに、あいつは60歳を過ぎてるんですよ」
「貴様! そんな嘘を言って言い逃れかあ(怒)」
取り調べは一晩中続けられたんだ。
§
懸命に説明することで、翌朝ようやく誤解が解けた。
クリュティエが魔法を使うのを見てようやく分かったらしい
「この子が妖精だったとは」
「言ったでしょうよ! 何度も」
結局、クリュティエは俺よりも年上であること、俺はダンジョンマスターであることを理解してもらった。
「この子が妖精……」
兵士たちはクリュティエをマジマジと見つめる。
何だよ。俺じゃなくてこいつらの方が、よっぽど大きなお友だちなんじゃねえの?
クリュティエは宣伝しようと思ったんだろう。
いつもの声とポーズで自己紹介を始める。
「水の妖精クリュティエです。この先のダンジョンで歌を歌ってます。是非、一度足を運んでくださいね。あ! あと明日、この町の劇場で歌いますよ。来てくれるとクリュティエ、う・れ・し・い」
片目を瞑って、手でハートマークか……。
営業が上手くなったな。こいつら、行く気満々だぞ。
詰め所を出て、すぐにクリュティエは頭を下げる。
「マスター。ごめんなさい。まさかこんなことになるなんて」
「なるんだよ! お前も、もう二度とあんな真似はすんなよ」
「でも、私の全てはマスターのものなのに……」
言い方! アブねえ! また、連行されそうだ。
小走りで宿屋にたどり着く。
ゼニスが入口で待っていた。
「ダイスケさん、心配していましたよ」
すぐに中に入ると食堂へ案内してくれる。
クリュティエを部屋にやると、ゼニスは事の顛末を尋ねてきた。
「何があったんですか?」
「どうもこうもねえよ。お姉さんと仲良くしようとしたらクリュティエが来て、全部ぶちこわしだよ。そのあげく、牢屋にまで入れられて」
「ええ!」
「〇〇を疑われたんだろうな。相手は妖精で俺より年上だって、何度も連呼したのにな……ははっ」
俺は乾いた笑いしか出ない。
「じゃあ、お姉さんのお店、今日の夜に設定しますか?」
「いや、何だか、その気がなくなったよ。次の外出日までの楽しみにしとくわ」
「分かりました」
そのまま俺は屋上にいくと、下のパンツ一丁で長椅子に寝転がる。
こっちの世界でも太陽に当たらないと病気になるのは知れ渡っていて、このような日光浴の施設があちこちに備わっていた。
今日は、太陽の日差しが眩しいぜ。
ミスティたちにも自由に過ごすよう連絡する。
クリュティエは瓶を運んでもらって、俺の横で過ごすらしい。
話し相手がいないとつまらないから、ちょうどいいな。
ミスティはバンパイアだけあって、日差しは苦手なんだそうだ。
でも、普通に歩いていたけどな。部屋の中で眠るそうだ。
「クリュティエ、いいのか? お前、服を買いたいって言ってたろ」
「いいんです。マスターといる方が楽しいです」
邪気のない笑顔が眩しい……が、俺は騙されねえ。
こいつの腹の中は真っ黒だからな。
昨日のことはトラウマになってるぜ。
結局、昼食を挟みながら、俺はひたすら太陽に当たっていた。
あ~あ、お姉さんのおっぱい……。
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