第10話 合成してパワーアップ

 異世界6日目 ダンジョンにて 仲間 サモナー婆さん、洞窟コウモリ×4、角モグラ、水のょぅ❘゛ょ


 本日も朝から罠と連携の確認をする。


「いいか? まずはクリュティエに相手の視線を集中させる。

 次に、昨日作っといた段差に敵を追い込み、バランスを崩したところでコウモリたちの攻撃だ」


 クリュティエと1匹の洞窟コウモリは、ふんふんと聞いているが、それ以外はちょっとリアクションが薄いな。

 本当に分かってんのかな?

 しかも、クリュティエが、


「やっぱり私に視線が集中しちゃうかあ。しょうがないなあ、でも必然?」


 大して髪もないくせに、髪をかき上げる仕草をしながら、自慢げにこっちへアピールを繰り返してやがる。

 無視だ、無視!


 この日は、冒険者が2組、ダンジョンに侵入してきた。


 1組目は男1人、2組目は男2人のパーティーだ。

 嫌な予感しかしない。

 歩き方も罠なんか全く気にせずに、どんどん歩いてくるじゃん。

 「さっき防具を整えました」みたいな雰囲気を感じる。


 案の定、クリュティエを見た瞬間、立ち止まってガッツポーズを繰り出した。


「イエス! ロリータ! ノータッチ!!」


 この世界は馬〇しかいないのか?

 すぐにボコボコにしてダンジョンの外に放り出しました。


 けれども、2組目の冒険者達はやばかった。

 一人はすぐに無力化できたけど、もう一人はクリュティエに凄い勢いで寄ってくる。


「えっ?」


 洞窟コウモリが攻撃するも、男の足は止まらない。

 これは、まずい。

 俺はクリュティエに覆い被さり、一言、


「お客様! お触りは禁止ですよ!」


 と叫ぶ。男は俺を何度も足蹴にし、クリュティエに触ろうと手を伸ばしてきた。

 洞窟コウモリが何度も攻撃してくれたおかげで、ようやく、その男は倒れ込んだ。


「出禁だな。このお客様は」


 迷惑料がわりに、いつものようにパンツ一丁にして防具等をもらう。

 俺の下にいたクリュティエは涙目になっていた。


「マスター。ごめんなさい。ごめんなさい。手から血が……」


 ああ、蹴られたときに擦りむいたのか。

 そんなに気にすんなよ。


 洞窟コウモリが俺の腕に引っ付いて、盛んに傷をなめている。

 衛生的はどうなんだろうと懸念しつつも、指で頭を撫でてやる。

 気持ちが嬉しいよな。


「マスター」


 そう言うなり、クリュティエが両手を結ぶ。

 その瞬間、俺の傷口が青く光り、傷口が塞がっていく。

 コウモリも思わず離れてしまう。


 これが水の妖精の力か。

 確か水癒だったな。

 味方を癒やす力があるのは心強いな。


「もう泣くなよ。クリュティエ」


 しおらしく頷いているときだけは、まともだ。

 いつも、こうだといいんだが。


 戦闘が終わり、ダンジョン内の後片付けをしたあと食事をとる。

 その最中に洞窟コウモリが発生し、同じ種類は合計5匹になった。

 正直、戦術も広がらないし、洞窟内に飛んでいるエサもいなくなってきた。


 次の日、ノーラ婆さんに対応を相談する。


「洞窟コウモリを合成すればいいんじゃよ」


 と、新たなる知識を教えてくれた。

 何でも、同じ種類のモンスターは合成されると新たな力を得るというのだ。


「じゃあ、それをやったら?」


「その日は召喚できないよ」


 ま、まあ、想定内。

 元にする洞窟コウモリは、当然あの賢い奴だな。


「合成されるコウモリ達が可哀想だな」


 思わず腕組みをして考えてしまう。

 それを聞いた婆さんは合成について詳しく教えてくれた。


「合成された方は別に死ぬって訳じゃないよ。新たに生まれ変わるみたいな感じらしいよ」


 それならいいかと気持ちが少し楽になる。

 お婆さんが魔方陣の中に洞窟コウモリを入れ呪文を唱えると、元にするコウモリは銀色の光につつまれ、5匹は1匹の血まみれコウモリに進化していた。

 ぶっちゃけ、口の牙が大きくなった以外は違いが分からないな。


「で、婆さん。こいつは……」


 って、フィギアに戻るの早! そんなに早く戻らなくても良いのに。


 早速ステータスを確認する。

 血まみれコウモリ 体力10 力強さ2 魔法0 技量(攻)7/24 

          技量(防)10/24 

     特殊攻撃 超音波(相手を混乱させる) 8/24

 

 血まみれコウモリは、相変わらず、頭を擦りつけて甘えてくるけど、ちょっと牙が怖いよ。

 こっちを見てくるコウモリの顔は、牙が目立って、やっぱケダモノ感満載。

 しかも、2倍増し増しで。

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