第3話 これも現実?

 ダンジョン2日目 配下 &#レウコトエー


 翌朝、目を覚ますと、もうすでに太陽は大分高く上がっていた。

 眩しさに目を細めると、目線の先にレウコトエーの胸が見える。

 近い!


 しかも、頭の下にあるのって生膝ですかね?

 膝枕、最高かよ。


「あ、マスター。おはようございます。よく眠れました?」


 下を覗き込んでくるレウコトエーさん。

 胸があと5cm程までに接近してますよ。

 危ないですよ。


 俺はもったいないけど、膝と胸の間から自分の頭を抜き出す。

 ジェントルマンだからな。

 触るなんてハレンチな真似はできないのさ。


「おはよう。レウコトエー。もしかして、ずっと起きていてくれた?」


「はい。危ないですから」


「危ないって?」


 その瞬間、突然、太陽が見えなくなり、今まで外の風景だったところがダンジョンになっている。

 え? 何これ?

 次の瞬間、俺の周りに剣が突きつけられる。


「こんな馬鹿がいるから、初心者狩りは止められねえ。うひょう。ダンジョン報酬がこの女かあ。ついてるなあ」


 4人の男が俺を取り囲んでいた。

 3人の剣士と魔法使いの服装をした男。

 中世の物語に出てきそうな感じだ。

 不思議だけど、言葉は分かるんだな。


 レウコトエーは素早く口の中で呟いていたけれど、


「おっと、そこまでだ。呪文を発した瞬間、この男は死ぬぞ? いいのか」


 呪文を唱えるのを諦めたレウコトエーの口に、布の猿ぐつわがはめられ、両手も後ろ手に縛られる。


「今まで見たこともねえくらい綺麗な娘ですね。また、胸もでけえな」


 思わず見とれてしまう剣士達をよそに、ボスらしい魔法使いは低い声で俺に話しかけてくる。


「ま、気の毒だが。決まりは決まりだ。お前には2つの選択肢がある。降伏するか、俺たちに殺されるか。すぐに選びな」


 これって、実質1択ですよね?

 俺は降伏すると伝えると、周りの剣士達が俺の頭を押さえつけて、地面につける。


「マーガロス様、降伏します。命だけはお助けくださいって言うんだ」


 俺は地面につけられた口を開くと、その通りの言葉を発する。

 口の中に砂が入ってきて、ジャリジャリする。

 その瞬間、レウコトエーの身体が黄色に光り、その光が収まると、男達は猿ぐつわをとる。


「お前の名前は?」


 マーガロスが話すと、レウコトエーは自分の名前を告げる。


「お前の主人は誰だ?」


「マーガロス様……です」


 は? どういうこと?

 このおっぱいは俺んだよね?


「誓いの言葉はどうした?」


「マーガロス様に誠心誠意仕えます。どうか、可愛がってください」


 マーガロスは高笑いを響かせ、俺を壁に放り投げる。

 背中が強く壁にぶつかり、息が出来ねえ。


「ああ、可愛がるさ。1週間は寝かせねえ。二人でたっぷりと楽しもうじゃねえか」


 周りの剣士達の羨ましそうな顔がむかつくぜ。


「こんなに幸運をもたらしたお前にプレゼントだ。お前、このダンジョンから出られねえだろ」


 男は俺に向かってどさっと麻袋を投げつける。


「水と食べ物だ。そういやあ、お前、他に何も持ってねえのか?」


 このフィギアは見つかったらまずい。

 どうか、気がつかないように……。

 けれども、剣士達は俺の近くに近寄ってきた。

 全て没収かよ……。


「マーガロス様、早く行きましょう。お優しいマーガロス様、この男にアドバイスを差し上げては」


 レウコトエーが艶めかしい声で話し、マーガロスに寄りかかる。

 剣士達はその声にあてられ、思わずそっちを向いてしまう。


「分かった。分かった。じゃあ、アドバイスをしてやるよ」


 剣士達を先に外にやると、俺に3つのことを教えてくれた。

 ダンジョンマスターが倒されるか降伏すると、その攻略報酬が必要となること(お金かモンスターなど)。

 モンスターはサモナー(召喚師)で増やせること。

 それ以外にも、自然にモンスターはスポーン(発生)するとのこと。  


「ま、今のお前じゃ、1日に1体だろうがな」


 モンスターは1日に1体しか増えないってことッスか?

 これ、詰んだね。


 飲み物・食べ物は、冒険者から奪い取るか、豪華なダンジョンにするかしかない……と。


「あと、一番いいのはダンジョンマスターを辞めることだ。ダンジョンから出られるし、普通に生活できる。だが、もう二度とダンジョンマスターにはなれない」


 そういうと、レウコトエーを自分の脇に抱き寄せる。

 レウコトエーは、無表情のままそれを受け入れている。


「じゃあ、ありがとな。あ、最後に、ダンジョンの入り口に初心者用とか石で案内をつけておいた方がいいぞ。今回みたいなことになるからな」


 そういうと、男達は高笑いでダンジョンを出て行った。

 え?

 これ、現実なの?

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