モンスター紹介 ~ゴーレム~

『ゴーレム LV10~ 所持スキル:ゴーレムの目的による』


「人間に危害を加えない条件下において自らの存在を維持せよ。」

 ――崩壊したゴーレムに刻まれていた銘文。


「まこと不思議なことに、わしの抱えている仕事をゴーレムに説明しようとすると、それだけで物事が片付いていく。あいつらの隠れた効用の一つだな」

 ――古代の工房に残されていた日誌。


「人、黙して心を澄まし、己の音を聞く。

 ならば鉄はどうだ。我が黙してもなお、音はあるか。」

 ――アイアンマウンテン。機齢240年のゴーレム。


 ゴーレムは粘土、石、金属といった多様な素材で構成された動く人形だ。


 これら命なき生物の似姿が動く原理は、エーテルを使った疑似的な骨格にある。

 彼らを動かす生命の火花は完全に非物質的なものとなっている。

 このためゴーレムの解析は困難を極め、現在でもよくわかっていない。


 ゴーレムの原理はアンデッド、とくにスケルトンと混同されがちだ。

 しかし彼らは、アンデッドとはまったく異なる原理によって動いている。


 スケルトンはいかなる精神や、肉体の元の持ち主に関わる要素を持っていない。

 そしてゴーストも、その精神は生者だったころのものに依存している。


 ゴーレムはこれらの存在と異なり、全くのゼロから心をつくり出している。

 彼らの「心」の詳細は謎に包まれている。多くの学者や魔術師たちがその秘密を解き明かそうと挑戦したが、得られたものは少ない。


 ゴーレムの持つスキルは、ゴーレムが作られた目的による。

 そのため、所持しているスキルに関しては、ほぼ決まったものがない。

 この特性がゴーレムに対峙した際の対処を難しくする要因となっている。


 ゴーレムに遭遇した際の対処はその個体によって異なる。


 小さくて力の弱いゴーレムに遭遇したときの対処は簡単だ。

 そうしたゴーレムは人間の力でも十分対処できる。

 つまり、手に持った武器で普通に殴ればいい。


 また、力強くても古いゴーレムなら対処できる場合がある。

 ゴーレムは永すぎる時間がたつと、次第に自分の命令を忘れてしまう。

 そうした個体には新たな命令を与えることが可能だ。


 厄介なのは、人とまったく変わらない姿のゴーレムだ。

 それらの個体は、制作者の人生そのものをかけて作られた。

 あらゆるコストを度外視し〝愛情〟を持って作られたゴーレム。

 その能力は、大抵バカげたものになっている。


 そしてこの種のゴーレムは「特別な感情」を持っている。

 長く生きたゴーレムは、人以上の何かにっていることがあるのだ。


 人の似姿にすがたをただのまがい物と思ってはいけない。

 模造品もぞうひん贋作がんさくとは、みにくく不完全でいびつに扱われる存在だ。

 しかしゴーレムは、それでいてなお正しくあろうとする理念。愚直ぐちょくともいえる生来の勤勉さを持つ。

 

 この点において、不完全な存在は、生まれながらにして完全な存在に勝る。

 不完全であるがゆえに、完全を乗り越える可能性を持つ。


 ゆえに、決して彼らを軽んじるべきではないのだ。




ーーーーーー

※作者コメント※

次話よりメインクエストの再開です。

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