第4話 相談

 宿屋にて。ソーエンとアオバは高額の宿に泊まっていた。何故わざわざ高額な宿に泊まるのか。それは、アオバは元貴族だから…だ。どうやら野宿は性に合わないみたいで何とか宿に泊まるために高額な依頼請け負い生計をやりくりしているのだ。

「もともと、高額な依頼を請け負うことで和国では成り立っているんだ。ギルドに所属すると他国での仕事など請け負うことになる。面倒だ。」

「師匠…面倒なことこそ、優先すべしって過去に私へ教えませんでしたか? 教えが矛盾してますよ…師匠。」

「そんな、昔のことは忘れたよ。」

「そんな! 出会った頃のことまで忘れたのですか? 師匠…。」

アオバの瞳に涙がたまる。その涙に動揺したソーエンは断言する。

「アオバとの出会いを忘れることがあるものか。それと、本題からそれている。」

「師匠…もともと他国まで渡り歩いてゆくゆくは蒼き焔の剣士の勇名を轟(とどろ)かせるって野望あったじゃないですか-。」

「適当なことを言うなアオバよ。俺は決めたぞ。流浪の旅を続けて身近な人々を救う…それが俺様が力を得た意味であると…な。」

「師匠がそうおっしゃるなら今まで通りに流浪の旅を続けて高額な依頼で路銀を稼ぐってことでいいんですね?」

「ああ…。ギルドマスターのムッキーには悪いが…ギルドに所属する旨味も学園で学ぶ旨味もないからな。気ままに流浪の旅を続けるさ。」

いきなり、宿の扉が開く。

「話しは聞かせてもらったぞ!」

そこには笑顔でサムズアップするムキムキのムッキーの姿。

「ノックくらいしてくださいよ? ムッキーさん。」

「すまないな。話し始めから終わりまで聞かせてもらったぞ! 残念だがギルドに所属しないのか。」

「ああ…。俺様達はもともと高額な依頼により生計をやりくりしているからな。たいしてギルドに所属する旨味がないからな。断らせて頂く。」

「はっはっは! すまないな! 君たちの旅路を邪魔してたみたいだしまったみたいだ。困った事があったら各地のギルドマスターにムッキーと知り合いであると伝えたら融通がきく。相談くらいはのれるぞ。」

「ありがとうございます! ムッキーさん。」

「ありがとう。ムッキー。」

そして、ソーエンとアオバの二人はまた、流浪の旅にもどることになった。宿をあとにした二人は手を振り見送るムッキーに手を振り返し和国の首都エドへ向かう。

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蒼き焔の剣士の伝説 爪楊枝亭 カムイ @mf79910403

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