第5話莉子と奇妙な友情とゾンビの影」
「友達いない…なら、俺と陽奈と友達になれば良くないか?」
俺はそう莉子に提案した。
「…良いの? やったわ! 友達ゲット!」
莉子が指を鳴らして、嬉しそうに微笑む。
おい、ゲームじゃないんだから、ゲットされたって言うのは若干引くと俺は彼女に伝えた。
「失礼しました〜。喜び爆破! じゃない、爆発させたの。」
莉子が興奮気味に、少し変いや変人だったな。
俺は陽奈に前の発言の真意を聞いた。
「なぁさっきのなんでもないだろってアレ本心?」
恐る恐る聞いた。
「ふん、なんでもないヤツを家にあげるか?
ば〜か。」
陽奈が鼻を鳴らして、甘い声で言う。
「えへへ、そうだよなー! ふはは。」
俺は思わず喜びを爆発させた。
変な奴と莉子に対して感じだけど、俺も充分変な男だと、鼻をさすりながら、頬が温まるのを感じた。
「ねぇ、神宮寺さん和人君に何言ったの?」
莉子が陽奈に近づき聞いた。
「うん? ば〜かって言った。」
「もう!」
また口が悪いと莉子が怒る。
「でも見ろよ、和人喜んでるぞ。」
陽奈が俺を指差してニヤッとして言う。
「和人君って罵られるの好きなの?」
「ちげー! そうじゃない。」
違うんだけど、反論出来ないってなんだこれ?
「ニュアンスの問題かしら? なんて意味で言ったの?」
「ば〜かって? 説教する男はクソって意味かな。」
ズッコー! 俺はそれを聞いて思わずよろけて背後にある機材にぶつかってしまった。
いってぇ…背中に擦り傷が出来たのかと思うほどの痛みが襲った。
「おい、大丈夫か? 和人怪我してない?」
陽奈が手を伸ばして俺の心配をする。
「ああ、ごめん機材壊してないかな?」
謝りながら、その手を掴んだ。
「そんなの気にすんなよ、真面目ちゃんかよ。」
「陽奈〜俺より機材のこと心配するかと思ったよ。」
我ながら情けないとは思いつつ、彼女に甘えるように言った。
「なんだよ、ゾンビが襲ってきたら、助けて〜って言いそうな勢いだな?」
いや、さすがにそれはない、陽奈を守ると宣言した。
「私も守るわよね?」
莉子が遮って言った。
「もちろん! 2人ともゾンビから守る。」
胸を張って俺は言った。
「ふふ、良い盾ね。」
莉子が笑みを浮かべ口を押さえた。
「道具じゃないんですが?」
肩を落として落胆して言った。
「じゃナイト様かな?」
上目遣いで莉子が言い直す。
「くだらないこと言ってないで、ゾンビについて調べるぞ。」
ちょっと待ちなさいよ、くだらなくないと
莉子が言い、陽奈が面倒臭いの連れてきたなと俺に目配せする。
「面倒臭いの神宮寺さんでしょ! あとね、ゾンビについては、私心当たりあるのよ。」
莉子がそう言うと、陽奈が目の色を変えて咳払いした。
「それを先に言えってーの! 役に立つの連れてきたな!」
言ってることが違うんですけど…まったく調子のいいお方だな!
「先生がゾンビを匿ってるって噂…子供がゾンビになったって聞いたの。」
莉子が青ざめて言う。
「なんだと! 初耳だ。早速先生のうちに行くか!」
「おい、早いよ。今日は辞めよう。」
「和人はマイペースだな。チッ。」
「あと関係ない話になるんだけどいい?」
莉子が話を遮るかのように、俺たちを見渡す。
「なんだよ? 勿体振らずにさっさと言えって。」
陽奈が急かす。
「口が悪いわね! もう! ふぅ、聞いた話だけど転校生が明日来るって噂よ。」
「それは知ってる。どいつが来るかも把握してる。」
「へー、情報通だな。陽奈それ誰? 俺知ってるやつ?」
「よーく知ってるやつだ。月見花梨だ!」
陽奈が名前を俺に告げた。心臓の鼓動が速くなるのを感じる。
「ぎゃああわ! 嫌ダァ〜。なんで来るんだよ?」
叫び声をあげて、俺はため息をつく。
「うるさい! 知るか!
騒ぐなと陽奈が文句を言った。
「フフフ、きっと和人狙いね!」
面白そうに莉子が口に手を添える。
「…楽しかった学校生活が終わりを告げた。」
俺は地面に手と膝をつけた。
「なんで? そんなに嫌なの?」
莉子が眉を寄せて言う。
「口悪い、性格悪い、悪いことするの三拍子揃ってるからさ。」
俺は2人に説明すると、納得したように頷いた。
ゾンビの事は明後日にしようと俺はお願いした。花梨の相手でクタクタになるのが予想出来るからだ。
渋々2人とも納得して、今日はもう帰ると憂鬱になり謝って自宅に帰還した。
ゾンビパンデミック後の世界で タカユキ @takayuki007
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