第3話陽奈の奇想天外ゾンビ探し作戦
「ゾンビがいるところ、心当たりあるのか?」
陽奈に質問した。
俺はまったく心当たりがなかったからだ。
「それは外でて話す、学校でじめっとしてても始まらない!」
「思ったけど〜和人テンション低すぎ、私テンション高すぎうぉぉ!」
陽奈がラップ口調で雄叫びをあげる。
自分でボケとツッコミかよ。欲張りセットだな〜もう陽奈1人でいいな。
教室から一歩外に出たその時、先生が大きな声で廊下で陽奈を呼び止める。
「神宮寺さん、あなたのテストの成績ちょっと問題あるわ。今日は居残りです。」
眼鏡をかけた賢さを感じさせる先生が、左手にファイルを持ちつつ、彼女を引き止めた。
「マジすか? そんな!」
陽奈は勉強が苦手だった。
それもあるが、ゾンビパンデミックの後だ。半年経った今多くの生徒が成績が下落している。
例外なく俺も少し下がった。大きく下がるほど成績が良くないからだ。
「先生、明日に出来ませんか? 神宮寺さんと遊ぶ約束してて、勉強私が見るので今日のところは見逃してあげれませんか?」
莉子が先生に両手を合わせて懇願した。
「朝霧さんが勉強見るなら心配ないわね。分かった今日のところは見逃してあげる。」
莉子は勉強得意なのだ。
しばらくして先生は去って行った。
「悪い、助かったよー!」
頭を下げて陽奈が言う。
俺は彼女も頭を下げられるのかと驚いた。
成長したな、普段なら余計なことをするな!
とか言いそうだったが。
「良いのよ、勉強出来るように協力するわ。」
莉子は面倒見が良いな、相変わらず。
でもそれが行き過ぎて嫌われるんだよな。
「ええマジ? 助かる!」
「勉強出来ないの辛いもんね。頑張りましょう。」
お、意外に2人相性いいのかもな。面倒見が良過ぎる莉子に、何故かほって置けない陽奈。
「おい、朝霧さん優しいぞ? 和人も見習えよ?」
「俺も勉強そんなに得意じゃないって。普通だからな?」
「役に立たない男だな。」
陽奈が非難してきた。
「うっせ!」
俺はそっぽを向いて、腕を組んだ。
「フフフ、拗ねてやがる。可愛いんだよなぁ、まるで雄のカマキリが食べられてる様と似てる。」
俺はその意味を思案して、頷き返事をした。
「ああ、弄られて喜んでることか。喰われて喜ぶって凄いよな。」
「ええ? こいつは何言ってんだ? 朝霧さん和人頭おかしいぞ!」
陽奈が手を握ってパーに開く仕草をした。
「発案者陽奈だろー! どういうことだよ?」
さすがにイラッとしてきた。
「だってカマキリの考えが分かるとか、メンヘラだろ? やべーって。」
おーい! 誰か! こいつ叱ってくれないか?
「どっちもどっちね。そんなのどうでも良いからゾンビの話をしまちょうね?」
子供をあやすように莉子が揶揄う。
「和人のが大事でしょ! ゾンビの話ししたくなるなんて、朝霧さんゾンビマニア?」
「違う、そうじゃない。」
陽奈の言葉に莉子が落胆した。
「ゾンビ探すんだろ?」
俺は助け舟を出した。
「ゾンビ探す?」
陽奈が惚けて言う。
思わず舌打ちをしてしまった。
「懸賞金100万稼ぐのに、ゾンビ探すんだろーが。自分で言ったんじゃないか、忘れたのか?」
俺は呆れ果てるように言う。
「どうやって探すん? 大変過ぎない? 宝くじ当てる方が確率高いぞ?」
えっ、何こいつやばい! 言い出しっぺのくせに!
俺は陽奈を一瞬睨んで、微笑み返されて怒りが一瞬で吹き飛んだ。
「じゃあゾンビ探す訳じゃないんだ? あー分かった! ゾンビを誘き出すんだ、そうだろ?」
「誘い出してゾンビが大量に出たら死ぬぞ?」
俺は倒すぞ? 死ぬのは陽奈だけだろう、合唱!
「学校終わったらゾンビ狩りするって言ったろーが!」
鬱憤が溜まり、イライラしながら俺は言った。
「ああ、ゾンビゲームの話な。家でやるんだ。」
ゲーム? ふざけてるのかな? 俺は思わず失笑した。
でも待てよ、家でゾンビ探しの作戦もゲームに入るのか?
とりあえず聞き返す。陽奈の考えは、俺には理解不能なんだ。
「懸賞金は? えっ探すんじゃないの?」
「チッチッチ! 頭を使えよ和人。学校で不登校になってるやつを探すんだ。そいつがゾンビで親に匿われてる可能性が高い。」
こいつ考えてやがる!
「確かにその方法が1番理にかなってるわね。」
「フフフ、だろ? けどそんなの警察も既にやってるはずさ。同じ事をしても意味はあんまない。」
「結局どうするんだよ? 早くネタバレしてくれ。」
俺は彼女を急かした。
「ゾンビは自宅にいる。普通はそう思うよなぁ?
警察もそう思う。違うんだ、別の場所にいるに決まってる。
だって自宅ならサツにバレるもんな。」
「つまり?」
話の先を促して、答えを待った。
「その家の周辺の使われてない場所を探すんだ。」
「つまり廃墟を調べるってこと?」
「そこを調べる前に、土を調べるんだ。」
「土? 何故?」
「親が車で何度も行き来してるはず。土に車のタイヤ痕が出来てるはずなんだ。それがあれば可能性が高い!」
「ならすぐ探す必要あるでしょ?」
莉子が割って入るように聞く。俺もそう思っていた。
「甘い! こんなチラシが出たばかりで、警戒してるはず、3日後に探すんだ。」
「じゃあ今日はなんなんだ?
なんでゾンビ狩りの話しで俺ここにいる?」
「和人を誘き出す作戦yea!」
yehー! なんだそりゃ〜見事にやられた。
莉子をチラみする。眉をひそめていた。
「えっ? 私は釣られたの?」
莉子が肩を落とした。俺に巻き込まれたのだろうお気の毒です。
「もちろん、探す準備するよ。しないとは言ってない。」
これってあれか?
やるとは言ったがいつやるとは言ってない。
その気になれば1年後に探すって…俺はため息を吐き、頭が真っ白になった。
「ふぅ、もう脅かさないでよ。悪い冗談やめて。」
莉子も形無しだな。
「まったく、揶揄って遊ばれてるよ俺たち。」
「ぷぷ、ごめん。でー? 和人はどうやって探す気だったん? さっきスルーされたけど?」
「俺? 陽奈に怪しい家に不法侵入させられるのかと思った。
「そんなことしたら親に逆上されて撲殺されちゃうよ? まー和人なら返り討ちか。」
ああ、ゾンビ相手にしたんだ。人間相手なんてなんでもない。
「それに自宅で発見は親に泣きつかれて、あー通報しないって和人なるだろ?」
確かに…俺は陽奈の考えに同意するしかなかった。
「別に俺に泣きつかれても無視して通報すれば良いだろ?
「私がそんな薄情な真似するか! この外道丸!」
なんだよそのあだ名。なんでこんな罵られないといけないの?
グスっ。
「朝霧さんは? 何か考えて参加したんでしょ?」
「ええ、それは…」
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