第41話:麻美子ちゃんの過去2。(大人の男)

僕は麻美子ちゃんのスマホに残ってる着歴に電話しましたね。

呼び出し音のあと、男の声がした。


「もしもし〜」


「◯◯ってもんだが・・・」


「はあ?・・・かけ間違いじゃないの?」


「あんた麻美子って女知ってるよな」


「・・・・」

「お前、誰だ・・・・なに言ってる?」


「知ってるだろ?」

「あいつのスマホに、お前の着歴残ってるもんな」

「俺はそっからおまえにかけてんだよ」


「おまえ、あの女のなんなんだ?」


「麻美子は俺の女だ」

「いいか・・・あいつには二度と構うな」


「そんなこと知るか・・・」


「麻美子に付きまとわないって誓え」


「そんなの俺の勝手だろ」


「付きまとうようならこっちにも考えがあるんだ」

「俺のダチにヤバいのもいるし、叔父は警察官やってるからな」


「おまえが麻美子に手出しするようなことがあったら、すぐに出張って

もらうことになるぞ」

「分かったら二度と麻美子には手を出さないって誓え」


「クソッタレが・・・わ〜ったよ・・俺も面倒はごめんだからな」

「他に女いるし、女子高生のしょんべんたれになんか手は出さねえよ」


「誓うな、手を出さないって」 」


「だから、そう言ってるだろうが・・・手なんか出さねえよ」

「死ね!!」


そう言ってそいつはスマホを切った。

僕とそいつの会話を聞いていた麻美子ちゃんは僕を見て唖然としていた。


「たぶん、もう大丈夫と思うよ」

「ん?なに?・・・麻美子ちゃんなに鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してるの?」


「◯◯ちゃん・・・別人みたい・・・」


「ああ・・・さっきの?・・・あれはただハッタリ効かせただけだよ・・・

本当の僕じゃないからね」

「相手にさ、悠長に優しくお願いなんかしてたらラチがあかないだろ?」


「それにしたって・・・」

「ちょっとびっくりしちゃった」


「あのね、これでも伊達に歳だけ食ってるわけじゃないんだからね」

「実際、友人にヤバい人もいるし、親戚のおじさんは警察官だし」

「ウソ言ってないからね」


「え〜ヤバい人って?」


「個人的にじゃなくて仕事関係でってことだよ」

「お客さんにその手の人がいるって話し・・・心配ないから」


「もし、さっきのやつがまだ麻美子ちゃんにちょっかい出してくるようなら

親戚のおじさんに連絡するから・・・ヤバい人に頼むよりはいいからね 」


「・・・・・・」

「あのさ・・・僕を怖い人みたいに思わないでよ」

「根は優しいおじさんなんだからね」

「麻美子ちゃんにとって僕は優しいちょっと歳食った王子様なんだから」


「なにそれ、歳食った王子様って・・・しょぼくない?」


「いいから・・・おいで・・・」


そう言われて麻美子ちゃんは助手席から僕のほうに体をよせたのです。


「なにがあっても離さないからね」


僕は優しく麻美子ちゃんを抱きしめましたかね。


「イヤなことは忘れて、なにか美味いものでも食べに行こう」


そう言うと僕は車を出しましたのです。


まあこれが大人の男と言うものでしょうか。

でもじっさい僕の心臓はバクバクだったんですけどね。

それ以来、その暴力をふるった男からはなにも言って来なかったですね。


だからこんなことくらいじゃ別れたりなんかしないんです、僕達は。

でももし麻美子ちゃんがレイプされたって少しでも僕が疑いを持ってたら

彼女ちゃんから別れを告げられていたでしょうね。

自分のことを信じてくれない男とはもう一緒にはいられないでしょうからね。


でも麻美子ちゃんが潔白だってことは彼女と初めて結ばれた時に分かりました。


つづく。

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