第40話:麻美子ちゃんの過去1。(私を暴行した人)

麻美子ちゃんが僕と別れるって言った第二弾。


僕と麻美子ちゃんが付き合い始めて2ヶ月は経っていたかな。

すでに麻美子ちゃんは18歳の誕生日を迎えていました。


彼女の同意さえあればセックスしたってもう印行にはならない。

学生っていう壁はまだありましたけどね・・・。

もう、したっていいんだって思うと彼女を抱きたいという気持ちが日ごとに

膨らんで行きましたね。


そんなある日、麻美子ちゃんを迎えに行くと車の助手席に座った彼女

いきなり泣き出したんです。


「え?・・・なに・・・なに泣いてるの?」

「麻美子ちゃん・・・なにかあったの?」


いきなり麻美子ちゃんが泣き出したので僕はパニクりそうになったのです。

麻美子ちゃんは泣くばかりで・・・僕には意味が分かりません。


「泣いてちゃ分からないだろ?」

「ちゃんと僕に分かるように説明して・・・」


彼女は泣きじゃくりながらボソッと言いました。


「私たち、別れなきゃいけないのかな?」


「なに言ってるの?」


「私のスマホにかかってきたの・・・」


「え?・・・なにが?・・・誰からかかってきたって?」


「高校一年の時、私を暴行した人」


「暴行?・・・暴行って」


「ちゃんと説明して・・・驚かないから」


麻美子ちゃんスカートに涙をこぼしながら話し始めた。


「私の友達に・・・女の子ね、仲良しの子がいるんだけど」

「高校は中退してて今はスナックで働いてるの」

「それでも私たち、まだ時々会ってて・・・でもその子あまり素行のよくない

男友達とも付き合いがあって・・・その中の男が私をスナックの個室に

連れ込んで暴力ふるったの・・・」


「私をレイプしようとしたんだよ・・・」

「殴られて蹴られて・・・抵抗したけど向こうの方が力強くて」

「逆らったらなにされるか分からないと思って・・・」


「レイプだって?」

「その・・・その男に麻美子ちゃん・・・レイプされたのか?」


「そうなる前に私の友達が部屋に入ってきて助けてくれたの」

「暴行は受けたけど・・・レイプはされてない」

「でも、そいつから二日前、私のスマホに連絡があって会えないかって」


「なんで私のスマホの連絡先、そいつが知ってるのか分かんない」

「で、すぐに切ったんだけど・・・私、怖くて・・・◯◯ちゃんどうしよう?」

「あ、ごめんね、隠してたわけじゃないて私も忘れてたことなの」


「だけど、こんなこと知って幻滅したでしょ?私のこと」

「だから、別れなきゃいけないのかな?」


「そんなことで別れたりするわけないだろ?」

「そいつの着歴まだ残ってるんだよね?」

「僕がそいつに電話して、二度と麻美子ちゃんにつきまとうなって釘さしてやる」

「ふざけるなよ・・・そんなやつ許せるか」


「スマホ貸して」


麻美子ちゃんは僕に自分にスマホを渡した。


「こじらせないでね、◯◯ちゃんに危害が及んだりしたら心配だから」


「大丈夫だよ、僕には切り札があるから」


麻美子ちゃんを疑うわけじゃない・・・彼女はレイプはされなかったって言った。

でも実際、彼女がどこまで暴行を受けたかは彼女しか知らないことでした。


もしそうだったとしても僕は、そのことを麻美子ちゃんに問いただしたり

しませんでしたし麻美子ちゃんを信じたのです。

疑ったり責めたりしたら麻美子ちゃんをさらに傷つけるだけのことですからね。

こんな時こそ逆に彼女を優しく包んでやること、それが恋人としての自分

の役目だと僕は思ったか思わなかったか?


つづく。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る