第38話:友達のうらぎり。

前回の続きです。


僕は麻美子ちゃんに麻美子ちゃんの友達のことを話しました。

黙ってるわけにはいきませんからね。

そしたら麻美子ちゃんはスマホの向こうで泣きだしました。


最初はすごく驚いてましたけど、そうとうショックだったみたいです。

そりゃ、自分の彼を、こともあろうに仲良くしてた友達が誘惑したんだもん。


ショックでしょう。


僕は麻美子ちゃんをなぐさめようと


「だから、昨夜あったことを正直に話してるだけだからね」

「何もなかったから・・・」

「誘惑はされたけど、ちゃんと断ったからね」


「麻美子ちゃん、聞いてる?」


「ごめんね・・・」

「・・・もういい」


ってスネてしまいまいました。


「もういいって?」


「ん〜だから、もういいよ」


「清廉潔白、ほんとになにもなかったんだから信じてよ?」


「信じてる・・・でも・・・」


いつものスネる感じってより、どっちかって言うと落胆した感じに聞こえました。


「だから、僕には君しかいないんだからね」


「・・・・・」


「聞いてる?」


「ごめん、切るね」


そう言って麻美子ちゃんはスマホを切ったのです。


次のデートの約束をしないまま切れました、あらら。

土曜日、いつもなら朝からデートだったのに・・・。


もしかいて麻美子ちゃんは来ないかもしれない・・・。

別れるなんて言わないよな・・・だって僕は悪くないんだし・・・。


土曜日の朝、僕はちょっとだけ、いや大いに不安を抱えながら麻美子ちゃんの

家に向かったのです。


その頃は僕と麻美子ちゃんが付き合ってることは彼女のご両親も知って

ましたからね。

高校生の娘のことは心配だっただろうけど、ご両親は僕と会ってこの人

なら大丈夫って思ってくれたらしいですね。

僕の誠意が通じたみたいです。


あと麻美子ちゃんのお母さんが僕をめちゃ気に入ってくれて、まあそれも

僕たちの交際を許してくれた理由の一つなんでしょう。

麻美子ちゃんのお母さんはイケメンが好きらしいです・・・。


なことより麻美子ちゃんはもしかしたら来ないかもしれない・・・。

彼女の家の近所に来るまで僕はそう思ってました・・・。


でも、でも・・・彼女の家に行く角を曲がったら・・・家の前で麻美子ちゃん

が立ってたんです。


(来てくれたんだ)


・・・よかった。

ホッと胸をなでおろしましたね。


とりあえず、これで話ができるって思いました。

麻美子ちゃんが車の助手席に座ったので、僕は言いましたね。


「来ないかと思った」


「◯◯ちゃんのことは信じてる、でも友達のことは許せない」

「だからあれから友達に電話をかけて絶交した」

「問いただしたら◯◯ちゃんの言った通りだった」


「絶交って・・・いいの?大切な友達でしょ」


「もういいの」


「大事な友達を裏切るような人はもう友達じゃないから」


「なんだか悪いことしたな」


「◯◯ちゃんは悪くないよ」


「僕は何があっても麻美子ちゃんを裏切ったりしないよ」


「心配かけてごめんね・・・私、大丈夫だから・・・」


麻美子ちゃんの友達は不幸な女だったのかもしれないですね。

尻の軽い女には、それなりの男しか寄って来ないんでしょう。

そう言う男しか見てこなかったから僕みたいに自分の誘惑に乗ってこない

タイプの男は珍しかったんだと思う。

彼女が住む世界は僕や麻美子ちゃんが住む世界とは違うんです。


でも、ヤバかったですね、もし麻美子ちゃんと付き合ってなかったら

もしかしたら麻美子ちゃんの友達の誘惑に負けてたかも。


つづく。

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