第18話:卒業おめでとう。

ようやく麻美子ちゃんが高校を卒業することになった。

これで、大手を振って交際できる。


卒業のお祝いをしてあげようと思って、知り合いのお菓子屋さんに無理

言って手作りケーキを作らせてもらった。


それと、くす玉・・・・紐を引っ張ったらパカッと開いて「卒業おめでとう」

って小さな垂れ幕が垂れ下がるって、小ぶりのくす玉。

そのくす玉を車のルームミラーにかけて、彼女に紐を引っ張ってもらうって

子供騙しみたいな趣向。


で、僕がくす玉をセコセコ作ってるのを兄の奥さん、義姉がそれを見て


「そんなの作ってどうするの?」って聞かれたから、個人的卒業イベントを

一通り説明してあげると


「彼女ちゃん、幸せもんだね」

「あなたのお兄さんなって、な〜んにもしてくれかったわよ」

「いいよね〜あんたたち、ラブラブで、うらやましい・・・がんばってね」


ってそう言われた。


で、手作りケーキを持って同じく手作りのお祝い道具一式、車に積んで、

麻美子ちゃんの卒業式が終わる前に、いざ学校へ。


彼女の通ってる学校は、毎年卒業式の日になると、いい車が校門も前に

何台もずら〜っ並ぶ。

ほんとは駐車しちゃいけないんだけどね。

だれも守らないんだ。


で、僕は、こっそりと目立たないところに車を止めて式が終わって麻美子ちゃん

が校舎から出てくるのを待っていた。

あまり目立っちゃいけないってのは、卒業式に麻美子ちゃんのお母さんが

式に来てるから・・・もし見つかるとやっかいだからね。


で、式が終わって麻美子ちゃんが出てきて、でそのまま彼女を車に乗せて、

埠頭まで車を走らせて、そこでふたりっきりの卒業祝い。


まずはくす玉・・・彼女に紐をひっぱってもらって・・・パカッと、くす玉が

割れて・・・ってなるはずだったのに、くす玉が開く前に紐が先にブチッと

切れた。


くす玉開かないし・・・肝心の垂れ幕出てこないし・・・で僕は、焦って

しかたなく手でパカッと・・・。

申し訳なさそうに「卒業おめでとう」の垂れ幕が・・・。


でも、その失敗を麻美子ちゃんがウケけてくれて・・・逆に失敗したほうが

よかったりなんかしてね。

で、ケーキをふたりで食べて・・・ケーキは僕が作ったんだよって言うと

めっちゃ驚いてくれて、美味しい、美味しいって食べてくれて、頑張って作ってよかった〜って思った。


それに味をしめた僕は、それから麻美子ちゃんの誕生日にも、なにかとサプライズ

を考えてたね。

麻美子ちゃんが驚いて喜んでくれるのが僕にとっての喜びになったかな。


僕がした麻美子ちゃんへのプレゼントで彼女が一番驚いてくれてくれて、

おまけに一番お金がかかったのは披露宴のあとの、参列者と一緒にウェディング

ホールから外に出た時の打ち上げ花火かな。


つづく。

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