転生剣士は九尾の狐と躍進中 ~大手ギルドを隠れ蓑に『集中力強化』を鍛えていた少年。不要だと匿名部署を解体されたので、表舞台に出ます。集中力が切れた地獄の職場よ。どうなっても知らんからな~
第88話 アグリの太ももに挟まれて食う氷菓子は美味い!
第88話 アグリの太ももに挟まれて食う氷菓子は美味い!
ランは気が付いた。
気が付いてしまった。
「ぴいいいっ♪」
アグリの太ももで体を挟んでもらうの気持ちいいっ! ということに。
「ぴいい! ぴいいっ! ぴあああっ♪」
「嬉しそうだな」
「マサミツ、血涙が流れそうだからその悔しそうな顔をやめたら?」
「これはもうそういうものです」
「あっそう……」
ムーンライトⅨのとある事務室。
椅子に座って書類を整理しているアグリだが、その外見は『美しすぎるOL』である。
裏では『もうちょっと胸があれば派』と『胸はこのままでも問題ない派』の二つに分かれて激論が交わされているところだが、いずれにせよ、アグリがパッドを胸に入れるかどうかはキュウビ次第である。
そのため、キュウビが『あるじにパッドは要らねえ!』となったら巨乳にはならない。
ただ、そんな議論を吹き飛ばす現象が発生したのだ。
ランが、アグリの太ももの間に挟まって、自分の体の全てを使ってアグリを体感しているのである!
これを見て、『おっぱい星』で議論を交わしていた有識者たちが爆速でロケットに乗って『太もも星』に移住。
しかも、お尻が大きいことで得られる『むっちり系』ではなく、細い体つきだからこその『スベスベ感』とか『背徳感』の議論になったのだ。
ちなみに議論の現場に行くと、目だけがガンギマリで無表情の人間が、今にも爆発しそうな欲望の鍋をボコボコに沸かしながらあくまでも冷静に議論を交わす、伏魔殿が楽園に見えるような事態になっている。
「ぴい?」
状況がよくわかっていないラン。
……普段ならわかっていると思うのだが、シアワセすぎて思考速度が低下しているのだろう。
それほど、アグリの太ももは気持ちいいのだ。
普段はスキニージーンズによってみられないが、ミニスカ……の中でも短めであり、足を細く魅せる効果がある黒タイツなどをつけていないにも関わらず異常なレベルで足が細いのだ。
アグリの生の太ももに体を突っ込んで堪能。
幸せだ。ランは今とっても幸せである。
「ぴいっ!」
「ん? ……ああ」
ランの視線がテーブルに置かれたシャーベットに向かっている。
アグリはそれに気が付いて、つまようじを小さい奴に刺すと、そのままランの口元に持っていった。
「ぴいっ♡」
シャクシャク食べるラン。
「ぐ、ぎぃ、ぐにゅうううううああああああっ!」
「人間が出していいのかその声」
精神がねじ曲がり始めたマサミツに対してキュウビが突っ込んだが、もうもはや手遅れである。
「ぴっ♪ ぴっ♪ ……ぴいっ!」
食べ終わったと思ったら、果汁がアグリの太ももに落ちた。
「……ぴ、ぴぃ……ぴいいっ!」
ランは太ももに落ちた果汁に口を持っていくと、そのまま『チュウウウッ!』と凄い勢いで吸い始めた。
「んぎょおおおおおおおおおっ!」
「どこから声を出してんだお前は」
「ぼ、僕だって、僕だって!」
「そこから先は言わん方が良いぞ」
「まあ、それは……確かに」
ちょっとだけ冷静になったようだ。
さすがにこの爽やか系のイケメンフェイスで『その先』を言うのはかなりやばい。
……いや、マサミツじゃなくてもヤバい。
「ぴいいいっ♡」
ランだが、どうやら精神が思ったよりヤバい方向に向かったらしい。
ちなみに、ふとももを思いっきり吸われたアグリだが、無抵抗である。
そもそも、『ミニスカスーツ美少女』という雰囲気を醸し出すために『集中力強化』で役作りに没頭しているので、そこまで雑念が入らない。
そのため、太ももに果汁が落ちたり、それを吸われたりしても、意識の大部分がそちらに向くことはないのだ。明らかにその点だけ言うと問題がある。間違いない。
結果的に、ランが好き放題するようになったが……ただ、これ自体は、ランが『ミニスカスーツの美少女』に慣れるためにやっているため、好き勝手するのは問題ない。
アグリ以外に迷惑をかけ始めたら流石に止めるが……いや、もうすでに性癖への攻撃と言う意味で迷惑をかけているような確信がするが、気のせいだろう。
「これが、世界で一番稼げる冒険者が会長のグループか。世も末なのか、世の中は意外とこんなものなのか……どうなのかねぇ」
キュウビはため息をついた。
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