第78話 ポプラ流折檻奥義『ダブル弁慶』
「皆さん。私は思うんですよ」
「どしたのポプラちゃん」
ピンク色のショートカットで、低身長の童顔巨乳。
俗にいう『ロリ巨乳』であるポプラ。
ブルーマスターズのサブリーダーであり、片手剣の使い手であり、元気いっぱいな女の子である。
「狐組には、足りないものがあります!」
「例えば?」
「ていうかちょっと待って、それって露店が並ぶ大通りで話していい内容なの?」
「大丈夫です。ちょっと手遅れなのが知れ渡るだけです」
「なるほど」
ポプラを含めて四人で話しているが、ただポプラの判断基準がヤバいことが分かっただけだった。
「で、何が足りないの?」
「ムーンライトⅨ。そしてアンスト。どちらもアグリさんに関係する何かを持っています」
「そうだね」
ムーンライトⅨは女神像を持っており、アンストには闇市がある。
どちらもアグリに関係する何かが物的に存在しており、ムーンライトⅨ、アンスト、ブルマスはお互いがお互いに入り合ってもいい関係ができている。
たまにポプラも女神像を見に行ったり、闇市に行って血で血を洗う(比喩)アグリの生シャツ争奪戦に参加するのだ。
ただ、今のところ、ブルマスにはそのような物はない。
変態レベルが低いというより、アグリへの初対面が『感謝』から入っているため、性癖が第一ではないのだ。
個人差はあり、ポプラはアグリへの執着はある方だが、だからといって彼女の意見が多数派になるかと言われればそのようなことはない。
「そこで私は思ったんです。我々に必要なのは、突撃だと!」
「と、突撃?」
「そうです!」
「例えば?」
「アグリさんがいない間に寝室に忍び込んで、ベッドで寝るんです! とても幸せだと思いませんか!」
「思う!」
「私も思う!」
「変態すぎるって……ところで、いる間には突撃しないの?」
「競合他社への刺激が強いのでそれは控えます。私はアグリさんのアレコレで興奮したいですが、あの本社を戦場にする気はないので」
変態だし手遅れではあるが秩序は必要だと思っているらしい。
「うーん。なるほど、線引きって難しいね」
「どこまで攻めるべきか。どこで引くべきか。突撃と言っても、闇雲に行ったら玉砕しちゃうもんね」
「まあ玉砕できるくらいまで踏み込みたい気持ちはありますけどね」
「「「それは分かる」」」
頷く四人組。
……ただ、彼女たちの性癖や欲望がここまでヤバいことになるということは、言い換えれば、キュウビの努力の結晶は確かに輝いているという事。
そして、アグリの神秘的な美しさが、どうにも頭を離れないのだ。
まあ、幼い子には刺激が強いのは事実である。
シャールとか、べレグとライグの兄弟とか、あのあたりのおじさんくらいになると適度に枯れるのでまだバランスは取れるのだが、ポプラの様に幼くて元気だと、かなりの確率でこうなる。
「ただ、計画と言うのは第一歩を進めることで、初めてその先があります」
「ふむふむ」
「というわけで、まあまず大丈夫だろうという範囲で、突撃して、その後でまた判断するんですよ」
「確かに、それは名案ね」
本当か?
「というわけで、今ここに、『プロジェクト・アサルト』を立ち上げます!」
「「「賛成!」」」
えー。その、なんというか。
一応補足しておくならば、彼女たちは、まだ『子供』だ。
全員が、まだ十四歳。
ブルマスのメンバーらしく、顔だちは幼いながら整っており、スタイルも年齢不相応に良い。
ただ、子供だ。
それは間違いないため、アグリの方も、別に押しかけてきたとしても問題はないだろう。
なんなら呆れながらも一緒に寝てくれる可能性もある。
「フンッ、白昼堂々、こんなところでバカな話をしているとは、やはり冒険者と言うのは頭が悪い」
「我々、『本部上級職員』が、しっかりと管理して、躾ける必要がありますねぇ」
空気が変わる。
ポプラたち四人を囲うように、大勢の『兵士』が姿を現した。
「ん?」
空気を感じ取ったポプラが、表情を変えて兵士たちを見る。
「……あなたたちは、一体誰ですか?」
「我々は『協会本部』の『上級職員』……と言っても、浅学な君たちではわからないか」
「本部は職員と役員で、それぞれ上級と一般に分かれてるんですよね。それくらいは知ってますよ」
「……チッ」
「あはは、俺達をバカにするなんて、やっぱりおバカさんだ」
全員が腰から剣を抜いた。
「我々は今、協会本部の『宝』を使い、『身体強化』の高い実力を持っている」
「確かに、膂力は凄そうですね」
ポプラの表情は、変わらない。
「……さて、お前たちは狐組の所属だな? お前たちを連行する」
「れ、連行って……」
「四源嬢アグリ。奴の実力は確かに強大だ。だが、大した実力のないお前たちを捕らえて、いう事を聞かなければ暴行を加えると言ったら、奴はどうするかな?」
「人質という訳ですか……」
ポプラはため息をついた。
「それなら、断固拒否です!」
「そんな選択肢はない!」
リーダーらしい男が、剣を手に襲い掛かる。
ポプラはそれに対して、ポーチから赤いボールを取り出した。
それを遠慮なく、地面にたたきつける。
次の瞬間、兵士たちに赤い雷が襲い掛かった。
「う、うおおおっ!」
「な、なんだこれは、がっ!」
「あああああっ!」
すんごい静電気にビリっと触れたような、そんな反応を全員が示した。
「これがアグリさんから貰った防犯グッズです! ダンジョンの階層にして80層オーバーの素材を使った特注品ですよ」
「なっ、ば、馬鹿な。そんな貴重品を、こんなタイミングで……」
「体だけ痺れても口だけは動くみたいですね。一体どういう性能なのやら……まあそれはそれとして」
ポプラはリーダーの男に近づいた。
「ここからは尋問タイムですよ。洗いざらい吐いてもらいます」
「チッ、だ、誰が喋るか! すぐにここに増援が来る。お前らみたいな甘ちゃんが……」
ポプラは小さめの鉄球が先端についたメイスを二本取り出すと、男の両足の脛を同時にぶっ叩く。
下半身も鎧に守られているが、斬撃武器と違って打撃武器の場合、中に衝撃が伝わるのだ。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「よし、おとなしくなりましたね」
「やかましくなったと思うけど」
「そんなことはいいんですよ。で、誰の命令なんですか?」
「いやぁ、最近、レミントンっていう上級役員が来てるって噂があるし、そっちから来てるんじゃない?」
「うーん。となると、連行して人質にするっていう話も本当っぽいですね。そしてそれ以上でもなさそうです」
「……どうする?」
尋問タイム。といったポプラだが、別に彼らから聞き出すことがなくなったと言える。
自分たちの思い通りになると思って、作戦や計画をベラベラ喋るからそうなるわけだが。
「犯罪に加担しているのは間違いありません。とりあえず景気付け……じゃなくて、折檻の為に全員をぶっ叩いておきましょう」
「さっき景気付けって言わなかった?」
「そんなの知りませんね。ほら、次はあなたですよ!」
「やめてくれえええええええええええええええええええっ!」
「あなたたちのこれまでの被害者は、止めてと言っていたはずです。それでもやめなかったのはあなたたちです。というわけでぶっ叩きますよ!」
ブルマスは基本的に、その容姿も相まって狙われやすい。
ときには、恐ろしさも示しておく必要がある。
そしてポプラは、そんな『防犯』の部署を内部で作るコミュニティのサブリーダーだ。
紛れもなく、その責任感は強い。
必要なら、他人の脛だってぶっ叩きます。
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