赤い花束を

霧島 月

第1話

赤い花束を贈ろう。

君からの贈り物に感謝をして。

君に出会って私の世界は色付いた。


「ねぇ、そんなところに突っ立って何をしているの?」

と声をかけてきた彼女に最初は嫌気がさしていた。

どうして話しかけてくるのか理解ができなかったからだ。

俺は振り向き少し目を合わせた後、彼女を観察して「ちっ」と聞こえるように舌打ちをしてやった。

普通ここまでされたら嫌がるが彼女は恐れもせず、

「貴方そんなんだから嫌われるのよ」

知ったこっちゃ無い。

どうしてお前なんかに…と思ったが口には出さず胸にグッと押さえ込んだ。

ずっと無言なのが気に食わなかったのかカツカツと音を立ててこちらに向かってきた。

「無視するってどうなの?失礼じゃない?」

そんなことを言うなんて…

きっと俺の顔はポカンと口を開いた状態だろう。

「ちょっと聞いてるの?」

俺は初めて彼女の顔をしっかり見た気がした。

彼女の潤んだ瞳に俺は吸い込まれてしまった。

あの時から彼女の虜だ。

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赤い花束を 霧島 月 @kirisimatuki

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