第10話

ミレイが陵辱の限りを尽くされ、人間として余りにも惨めな殺され方をされている間何も出来なかったケビンは、無力な自分を呪う絶望感と、どんな手を使ってでも怨敵を殺すという殺意が混ざり合った表情で俺を睨み付けている。


どれ程凄まれてもパンツ一丁では滑稽なだけだぞ。それにお前は昔馴染みの女が陵辱される姿に興奮したド変態の自覚を持てよ。いつ迄ケビン棒を元気にしてるんだもうミレイは死んだぞ。


そんなどうしようも無いケビンの精神を壊すいい考えが浮かんだ俺は、ケビンの口枷を外す。会話は大切だからな。俺はゴブリン語?とスキル名しか喋れないけど。


口枷が外されて話せる様になったケビンは、俺に対してありったけの憎悪の言葉をぶちまけ始めた。


「てめえええええ!!よくもミレイを!!殺す!!てめぇだけは絶対に殺してやるからな!!」


ああ、はいはい、イきるのはケビン棒だけにしとけよ。実力も態度も小物とかお前惨め過ぎるぞ。


ケビンの言葉を鼻で笑いながら俺は地面に置いておいた杖を手に取り、先程補充した怨念を使って『魅了ノ呪』を使用する。これは精神を操作するスキルで、今回はケビンのミレイに対する素直な想いを吐露させる。


レベル1では一回じゃ複雑な操作は期待できないが、存在しない感情を植え付ける訳ではなく、元々抱いていた想いを吐き出させるなら低レベルでも期待できるだろう。


さて、ミレイに対する想いはどの程度かな?


検証と思い付きを実行するべく、ミレイの死体に向けて杖を構え『暗黒矢』の発動準備をする。その一連の動作を見ていたケビンは大声で俺に静止を促す。


「やめろ!!これ以上俺の・・ミレイを汚すんじゃねぇ!!」


俺のだなんて独占欲丸出しだな。あれだけ言い合いしていたケビンがこんな素直な気持ちを露わにするとは考え辛いから、成功したと思っていいのだろうか?もしくは直接は言えなくても、既に死んでいるから素直になれただけの可能性も考えると微妙なラインか?いや、流石に穿った見方し過ぎか。


しかし、汚すだなんて失礼な奴だな。俺はお前の願いを叶えてやろうとしてるんだぞ。


ケビンの発言を無視して、ミレイの死体の首に威力を高めた『暗黒矢』を放つ。今回は切り落とすのが目的だから杖が無くても良いんだが、万が一粉々にならないよう念の為に杖を使っておく。


ミレイの首筋に『暗黒矢』が吸い込まれる様に着弾し切断されると、死んで間もないからか切断面から勢い良く血が吹き出し、近場に転がったミレイの顔を赤く染め上げる。


文字通り水も滴る良い女になったじゃないか。これにはケビンも喜んでくれるぞ。


「やめろおおおおお!!」


どうやら俺の善意は通じなかったようだ。もう千切れちまったから叫んでも意味ないぞ。


そのミレイの首を杖を持っていない方の手で持ち、地面に横たわるケビンの顔の真隣に視線が合うように置いてやる。


「あああああ!!ミレイ!!ミレイ!!ミレイ!!」


顔を血塗れにして白目を剥いた状態で絶命してるミレイの顔を間近で見て名前を連呼している。


続けて身体部分を、ケビンの下腹部とミレイの下腹部が重なる様に配置すると、流石にこの惨状ではケビン棒も元気を失っていたが、死後硬直が始まっておらず、今だに柔らかいミレイの身体の感触で少しずつ元気を取り戻していった。特に反応を見せないことから本人にその自覚はないだろうが。


マジかお前…どれだけ節操無しなんだ…人間の見た目をしたゴブリンかよ。


「なに…して…」


最初程の勢いは無いが、未だにミレイの首元から出る血を被るが気にする素振そぶりをみせず、自身の身体にミレイの身体を重ねられる意味が分からないのか、ケビンは叫ぶのを止めて疑問を口にする。


黙ってろ変態、今から良い思いが出来るからよ。


「『魅了ノ呪』」


先程掛けた『魅力ノ呪』をもう一度使用する。今回も操作するのはミレイに対する想いだが、最初とは違い親愛ではなく情欲だ。一度では終わらせず、二度三度と繰り返し掛けてレベルの低さを補う。その分怨念を消費してしまうが仕方ない。


それを六度繰り返し、七度目を掛けようとすると、ケビンは遂に我慢の限界を迎えたのか、ミレイの下腹部に完全に臨戦態勢になったケビン棒を擦り付け始めた。


両腕両脚が動かせない状態で、憎からず想っていた女の死体に対して必死に腰を振る姿は、人間としての尊厳を投げ捨てていた。


「ご、ごめんミレイ!!俺は、俺はそんなつもりじゃ!!」


生首のミレイに対して泣きながら必死に謝っているが、情欲を操作されているケビンは快楽に抗えずミレイの死体を辱め続ける。


普通に考えれば目の前でスキルを使った俺に何かされた事に気付けるだろうが、この命が懸かった極限状態に加え、ミレイが俺に凌辱されている時に興奮してしまった罪悪感。独占欲を抱く想い人が殺害された挙句、死体に情欲をぶつけている嫌悪感を覚えながらも、快楽に耽ってる自分に対する絶望感でまともな判断が出来ていない。


これはお前が望んだことだぞ。俺とミレイの仲睦まじい姿を見て混ざりたいから股間を膨らませていたんだろうが。その願いを叶えてやったんだからもっと喜んで俺に感謝しろよ。


「あああああ!!いやだあああああ!!」


そしてついに、ケビンは大声を上げながら何度か腰を震わせ、それが収まると死んだ目つきでミレイに謝り続けるだけの肉人形になってしまった。


死して尚昔馴染みに汚辱されるとは、ミレイも可哀想な奴だ。直ぐにケビンもそっちに送ってやるから、あの世で思う存分ケビンを詰るといい。


俺は最後のスキル検証として『怨嗟ノ呪』を発動した。正直ケビンの精神は既に崩壊しているが、完全に心を破壊し尽くして殺す。


スキルを受けたケビンは、全身を痙攣させながら血涙を流し、口から泡を吹きながらミレイと同じく白目を剥いて絶命した。


死ぬのはいいけど、ミレイと同じ死に方とか芸がないうえに、無言で死ぬなよつまらんな。


最後に気分が白けてしまったが、ケビンの死体から溢れ出る禍々しい光を見ていると自然と笑みが浮かんでしまう。ミレイには若干及ばないが、それでも今回使った怨念を補って余りある量が手に入った。


そして、俺の頑張りを祝福するかのように、脳内にレベルアップの情報が流れてきた。

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