第2話
あれから3日が経った。その間に雄ゴブリンが戻って来る気配は一切なかった。
3日間の食料は、俺がブチ殺した子供ゴブリンを食べていた。臭くて臭くてとても進んで食べたい物じゃないが、何も食べないと餓死しちまうから贅沢は言えない。
女もまだ死なれると困るから、嫌がるのを無視して無理矢理口に詰め込んで食わせた。
これだけ待って戻って来ないって事は、外で人間か別のモンスターにでも殺されたと思っていいだろう。
ここが洞窟で、ゴブリンが自由に出入り出来てた事を考えると完全に安全を確保したとは言えないが、そろそろレベリングを始めるとしよう。
その為に態々貴重な食料を女に分け与えたのだ。その名も自給自足レベリングだ。
俺の繁殖スキルを使って、未だに地面に転がしてある女を孕ませ、産まれてきた子供を殺して経験値と食料を稼ぐ。
こうすれば、女が生きている限り無限にレベリングする事が出来る優れ物だ。
「さて、始めるか」
「いやぁぁぁぁぁ!!来ないでぇぇぇぇぇ!!」
良い声で鳴いてくれるじゃないか。それでこそ貴重な食料を分け与えた甲斐があるってもんだ。元気な分には長持ちするからな。
俺は『繁殖』を発動した。すると、俺のゴブリン棒のイライラゲージがどんどん高まっていく。
「もう我慢できん!!いただきます!!」
「いやぁぁぁぁぁ!!」
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イライラして、入れて、出して、膨れて、新しく出して、潰して、食べての繰り返しを1ヶ月くらい続けていたら、遂に女が動かなくなってしまった。
まあ充分レベリング出来たから問題ない。
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チャイルドゴブリンLv3→ゴブリンLv5
『繁殖Lv1→Lv4』
『悪食Lv3』new
スキル保有者の不快感を感じる食物に対して味覚を反転させる。Lvが上がる度に味覚の反転率が上昇する。
『雌特攻Lv1』new
雌個体に対する敵対行為に上昇補正。Lvが上昇する度に補正値が増加する。
『ゴブリン特攻Lv3』new
ゴブリンに対する敵対行為に上昇補正。Lvが上昇する度に補正値が増加する。
『簒奪Lv1』new
生物を殺害する事で能力値を簒奪する事が出来る。Lvが上昇する度に簒奪能力値が増加する。
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これが1ヶ月間の成果だ。
まず種族がチャイルドゴブリンから、ゴブリンに進化した。漸く子供を卒業し、一人前のゴブリンになれたって訳だ。
ファンタジー定番のやられ役なゴブリンだが、俺は他のゴブリンよりも強い自信がある。それは進化した時に覚えたスキル『簒奪』のお蔭だ。
これは敵を殺せば殺す程相手の能力値を奪えるチートスキルだ。能力値と書かれているから、おそらくスキルは奪えないんだろうが、それでも破格な性能だろう。
チャイルドゴブリンしか殺してないし、スキルレベルも低いから殆ど能力値は増えないが、それは一回で見た場合の話だ。
数だけは増やしたから、塵が積もれば山となるは言い過ぎだが、小山程度にはなっただろう。
『簒奪』があまりにも壊れ性能だが、『雌特攻』と『ゴブリン特攻』も戦闘スキルとして優秀だ。
単純にその種族に対して補正が掛かるし、特に『雌特攻』は補正範囲が広いのが素晴らしい。
『悪食』にもかなりお世話になった。現状チャイルドゴブリンしか食べる物が無かったから、あの臭い肉を旨味に変えてくれるは有難いし、今後は不味い食い物も美味く食えるのは非常に助かる。
種族として進化して、有用なスキルも複数獲得する大満足な結果が出たし、そろそろ外の世界に旅立つ時だろう。もうこの洞窟じゃレベリング出来ないしな。
女が着ていた布の服を
「うっし、行くか」
俺は洞窟の外を目指して歩き始めた。
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体感3時間くらい歩いてるが、俺は今だに出口に辿り着けていなかった。
「ああむかつく!!いつ出口に辿り着けんだよ!?」
この洞窟はまるで迷路の様に複雑な構造をしており、よく行き止まりにぶつかったり、似た様な通路が多いせいで同じ場所を行ったり来たりもさせられた。
俺以外のモンスターや人間の姿も一切見当たらない。この広さと複雑さがあったから安全にレベリング出来たんだが、それはそれ、これはこれの精神でむかつくものはむかつくのだ。
俺が更に1時間ほど彷徨っていると、漸く出口が見えてきた。
「やっとか!!とりあえず何でもいいから殺してえ!!腹も減った!!」
空腹と殺意に呑み込まれて頭が沸騰してる俺は、負の感情に突き動かされるままに出口に向かって全速力で駆け出した。
そしてあと一歩で洞窟を抜けられる所まで辿り着いたと思ったら、曲がり角から突然現れたゴブリンと正面衝突した。
ふざけんな!?ベタなラブコメじゃあるまいし、その相手はよりにもよってゴブリンかよ!?こんなゴブリン同士のラブコメなんて何処にも需要ねぇだろ!?
俺は多少よろめくだけで済んだし痛みも殆ど無かったが、ぶつかったゴブリンは仰向けで倒れながら鼻っ面を抑えて悶えている。
「あああああ!!このゴミがぁぁぁぁぁ!!死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇ!!」
倒れているゴブリンに対してマウントポジションを取り、更に溢れる殺意を拳に乗せて何度も何度も振り下ろし続けた。
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