第42話 誕生日…え?誕生日?
気付いたら12月に入っていた。今年も残り1ヵ月となった。
12月といえば冬休みがあったりクリスマスがあったりする。
恋人と初めて過ごすクリスマス…もちろん節度は守らなければいけないが期待してしまうことはあったりする。期待だけだからね?
そうしていつも通り学校で過ごしていると事件は起こった。
「そういえば舞ってそろそろ誕生日だよね~。今年はどうするの?碧くんと二人きりで過ごす?」
「え?」
「ん?どうしたの碧くん。まるで舞の誕生日を知らなかったみたいな顔して」
「いや実際その通りなんだけど…」
「えっまじ?」
マジも何も大マジ。舞の誕生日って12月なの?普通に知らなかったんだけど。
「…そういえば言い忘れてたような」
「ええ?!誕生日とか一番初めに共有するでしょ!ちなみに私は1月24日!祝ってね!」
さらっと自分の誕生日を宣伝する愛田さんであった。
舞の誕生日は12月13日らしい。来週じゃねえか。
「ちなみに碧くんはいつ誕生日なの?」
「俺の誕生日?俺は2月14日だよ」
「へー2月14日…えっ!バレンタインデーじゃん!」
「あー確かにそうだね」
バレンタインデー。それは男にとって絶対に無視できない日であろう。
まあ俺は女友達どころか男友達ですらいなかったから特に何もなかったのだが。
「なるほどねえ…なら舞は碧くんの誕生日張り切らないとね?」
「まあ…できる限り頑張るけど…」
「誕生日プレゼントにキスでもしたらいいんじゃないの?」
「しないわよ!!」
愛田さんのキスという単語によって俺と舞は初めてキスをした日を思い出してしまった。そして二人とも頬に熱が帯びていくのがわかる。
「あれあれ?何かなその反応は?もしかして既に経験済み?」
「いや…そんなわけ…」
途端に舞の歯切れが悪くなったので愛田さんは気付いてるのだろうなと思った。
「舞の誕生日か…」
「期待してるね?碧くん」
そうやって舞に見つめられては頑張るしかないだろう。
そうして誕生日どうしようと考えていると八幡くんが近づいてきた。
「なになに?誕生日の話?愛田さんの誕生日が1月24日なのは知ってるよ」
「そ、そっか」
愛田さんがガチでドン引きしてた。
学校が終わり俺は早速誕生日について考えることにした。
「ん?なんだこれ」
家に帰ってポストを開くと見知らぬ封筒が入っていた。
送り手の名前を見てみると俺の母さんからだった。
「母さんから何か用かな?」
ちなみに今日は舞と愛田さんは二人で出かけるのだそう。
舞の希望で誕生日当日は二人きりで過ごすことに決まったので早めに祝うことにしたそうだ。
家に入り母さんからの封筒を開くことにした。
「にしても何の用だろうな…」
そうして封筒を開いてみると中には手紙とお金が入っていた。
「なんでお金?」
そうして手紙を見てみる。
『碧へ。舞ちゃんの誕生日が近いということでちょっとした軍資金を送ります。ちゃんと喜ばさせるのよ?それとクリスマスの日はちゃんとゴムをつけ――あ、今一旦読むのやめようとしたでしょ?私わかるからね?あと年始はどうする?そっちで舞ちゃんたちと初詣行っちゃう?また連絡して下さい』
とのことだった。途中の余計なところは一旦置いておくとして舞への誕生日で使うお金が増えるのはいいことなので感謝しておく。
「てか母さんは舞の誕生日知ってるのかよ…」
なんであの人が知ってるんだと思うがまあ多分実家に帰ったときに質問攻めでもしたのだろうなと思う。
初詣に関しては後々決めてから連絡することにした。
そうして俺は早速ショッピングモールへと向かうことにした。
ちなみに俺は贈り物などは母さんにぐらいしかしたことがないのでなにを選べばいいか全く持ってわからない。愛田さんになにか聞いとくべきだったかもしれない。
…いや愛田さんをずっと頼るのもだめかもしれないな。
そう思いお店へと入っていく。結果としては…
「だめだ…全然よさそうなものが見つからない…」
まずやっぱり一人だと店員さんの視線がきついよ…
そうやって近くのベンチに座り悩んでいると…
「おやおや。何かお困りかな水瀬くん」
「…」
なぜか隣に八幡くんがいた。なんなの君ストーカーかなにか?
「…なんでここにいるの?八幡くん」
「僕と水瀬くんが親友になってから何年経つと思ってるの?どこにいるのかなんてわかるよ」
親友ではおそらくないだろうしまず出会ってからまだ一年も経ってねえよ。
「それで実際は?」
「いや普通に愛田さんの誕生日プレゼント買いに来ただけ」
「…」
結構普通だった。やっぱり誕生日プレゼントとかって一ヶ月前から考えて用意するものだよな…
「ちなみに三ヶ月前から悩んでいるんだけどなかなかいいものがなくてね…」
「そ、そうなんだ」
こわ…八幡くんってどれだけ愛田さんのこと好きなの?
ちょっと愛田さんが心配になってしまったではないか。
「それで?水瀬くんは多分だけど姫川さんの誕生日プレゼントだよね?僕も何か渡した方がいいかな」
「む…」
俺は八幡くんを思いっきり睨んだ。
「あはは大丈夫だよ。僕は愛田さん一筋だからそういう意図はないよ」
…無駄に説得力あるな。
「せっかくだから一緒に買いに行かない?」
そう八幡くんに提案された。まあもちろんその答えは…
「そうだね。一緒に行こうか」
どっちにしろ一人だと永遠と悩むことになるだろう。ならばいっしょに買いに行くというのに異論が出るはずがない。
そうして俺と八幡くんはショッピングモールへと向かった。
ちなみに結果は悲惨だったので大人しく愛田さんにアドバイスを求めた。
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