第40話 生徒会長

ハロウィンでのお菓子パーティーによって少しは八幡くんとも仲良くなれて、この3人の中に八幡くんが加わることも多々あった。

ちなみに八幡くんはめっちゃ喜んでた。『やった!これでいつかは愛田さんと…!』

とか言って俺に話しかけてきたけど、反応するのがめんどくさくてとりあえずフル無視を決め込んだ。


なんか最近どんどんと八幡くんの扱いが酷くなっていってるよね…

まあでも八幡くんが悪い人だとは思わないからこれからも関係が続けばいいなと思う。


全く関係ないけど今日はいい天気だなあ。いやあ今頃愛田さんと八幡くんは教室で昼ご飯を食べてるかな?あはは。

と、現実逃避をしていたら隣に座っている舞に優し目に脇腹をつねられた。

そうして現実に引き戻される。


周りには俺が見たことない景色。少し豪華なソファに対客のために出された紅茶などなど…あまりにも見覚えがない景色だった。

え?俺と舞は今どこにいるのかだって?よくぞ聞いてくれた!それはなんと生徒会室です!はあ…どうしてこうなった。



―――少し前


俺たちは4限目の授業を終え、八幡くんを含めた4人で昼食を取ろうとしていた。

そういえば最近は舞との弁当の内容を少し変えているんだよね。八幡くんにはバレているから問題はないのだが、まあもしかしたら誰かに見られてバレるかもしれないから…舞って視線を集めるし。


最近の舞は相変わらず冷たいものの、俺に対しての態度は今までクラスメイト達が見たことないものだったようでまた人気になっている。

中には俺たちが付き合っていると信じ切れなくて未だに告白するやつはいるらしい。

そういう人は舞は無視しているらしいし、なぜかはわからないがクラスメイトの女子たちが舞を守っているのだとか。


少し前に『二人は尊いからこれからもよろしくね!!』とか言われたけどそれが関係してそうだな…

そうしていつも通り雑談をしていると…


「水瀬くーん、生徒会長が呼んでるよ?」

そうして教えてくれたのはクラスメイトの女子だった。

そうして視線を向けてみると扉の外に生徒会長の姿が。

「え…?」

いや俺は生徒会長とは面識などないのだが…?


「え?なになに、碧くんなにかやらかしたの~?」

「いや、何もしてないけど…」

「まあとりあえず行って来たら?」

そう愛田さんに促された。俺が立ち上がると舞もついてくる。


「えっと…何か用でしょうか生徒会長」

「うむ。少し水瀬碧くんに話があってだな」

「俺に用…?って痛い痛いっ」

隣にいる舞が相当不機嫌そうな目で生徒会長のことを見ていた。


「ははは、そう睨むな。私は君にも用があるのだ姫川舞」

「私にも…?」

「ああ、二人とも同じ要件だ。とりあえず生徒会室に来てほしい」


そうして俺と舞はそのまま生徒会長のあとをついて行く。

ちなみに生徒会長の名前は上岡香恋というらしい。

女性にしてはかなり高い背丈であり、少し男らしいという印象だ。


「ここが生徒会室だ。どうぞ入ってくれ」

そうして俺たちは言われるままに生徒会室へと入った。



そして今に至る。

いやまじで俺なにやらかしたんだろう。もしかして、俺と舞が一緒に家に入るところを見られたか?いやでも俺と舞は付き合っているから別に問題はないはず…


「それで、話って何ですか?上岡生徒会長」

「それだと長いから香恋でいいぞ」

「では香恋先輩で」

「まあ要件というのはだな…えっと、その…」

加恋先輩はやけに口ごもっていた。しかもいつものような威厳のある凛々しい姿とは言い難く、さっきからずっと両手の人差し指を合わせている。


「…?」

「いや、その…君たちって付き合っているのだろう?」

「はい、そうですね…」

「いや、その…好きな人が居るのだが…どうすれば付き合えるのかなと…」


…俺と舞は幻聴を聞いたかもしれない。

「えっと…?」

「いやだからその…実際に付き合っている君たちにアドバイスをもらおうと思ってだな…」

「なるほど…?」

いやまさか生徒会長がこんな悩むを持っているとは思わなかったな。

なんかまじでそういう色恋沙汰には興味なさそうな人だったからさ。


「ちなみにその好きな人というのは…?」

「3年5組の桐原くんだ」

桐原先輩…なんか聞いたことがある。香恋先輩によると、結構何でもできる上に顔もいいので女子からの人気は相当高いようだ。

「でも、香恋先輩ぐらい美人なら桐原先輩も振り向いてくれるのでは?」

「び、美人とは…!君はほ、褒めるのが上手なのだな…」

すごい慌てようだな…って痛い痛い痛い。舞がさっきよりも強い力でつねってきた。


舞は結構嫉妬深いからあまりこういうことは言わないほうがいいな…

いやマジで冗談じゃない程痛かった。

「いやその…私って生徒会長の堅い感じがイメージになっているというか…えーっと実はこっちが素なんだよね」

「 「?!」 」

さっきまでまじで威厳ある生徒会長みたいな雰囲気だった香恋先輩が急に愛田さんよりの雰囲気の女性になった。


「え?いや…え?」

「ごめんねー。なんか生徒会長というのに憧れてたから、ちょっとキャラもTHE・生徒会長!っていうキャラを演じようと思って…そしたらいつのまにかそのイメージが定着しちゃって後に引けなくて…」

「ええ…」

うちの生徒会長がそんな人だったなんて知らなかったぞ…いや多分みんなも知らないんだろうけどさ。


「だからさ、桐原くんには素を見せてないわけだからさ…生徒会長の雰囲気のままで告白しても振られそうだし、素でいっても逆に無理そうだからさ…」

「なるほど…」

「ねね、ちなみに舞ちゃんはそれが素なの?」

「え、舞?」

「いや私はこれが素よ…」

なるほど。香恋先輩のせいで舞のことを少し疑ってしまったじゃないか。


「…それじゃあ諦めるしかないんじゃないですかね?」

「なんでよーなにかいい案考えてよー」

まあできればここは相談に乗ってあげたいところではあるのだが…

「あの、香恋先輩」

「ん?なにかな水瀬くん。いい案が思いついたかい?」

「いや違うんですけど…少し桐原先輩を調査してもいいですか?」

そう、桐原先輩は確かに女子にモテるという話もよく聞く。

ただもう一つよく聞く話がある。それは数人の女子と付き合っているという話だ。

要するに何股もかけているということである。


それが真実かはわからない。なので調査しようと思ったのだ。

どうやら舞もその話自体は知っているらしく、舞も話に乗ってくれた。

「私からもお願いします。そして私たちが調査を終えるまで告白するのは待っていただけたらと」

「…そう?まあ二人が言うならそれでもいいけど」

「ええそれでお願いします。それじゃこれで失礼します」

そうして俺と舞は立ち上がる。


「それじゃあ頼んだぞ!二人とも!」

「まだそのキャラやるんですね…」

生徒会長キャラの香恋先輩に見送られ、生徒会室を出た。


「ちなみになんだけど舞ってなんでその話知ってたの?」

「噂で聞いたことがあったの。けど結構前にあの男が告白してきたんだけどその次の日に他の女と歩いてるところを見たの。だからあの噂は信憑性高いわよ」

「よしそいつ〇る」

「落ち着きなさい碧くん」

そうして俺は殺気を抑えつつ、舞と調査の準備をするのだった。


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この作品とは関係ないんですが、実は新しく別の作品も書き始めたんですよね。

なので交互に更新する感じになるかもしれないので投稿頻度がまたバラバラになるかもしれません。

その別の作品が気になる方はプロフィールからぜひ見に行ってください✨

それではまた次話で


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