第25話 噂と変化

家族とのことがあったりと色々なことがあったが今日で夏休みは終わりとなる。

そして今は愛田さんと舞がリビングにいる。まじで当たり前のように愛田さんがいるな・・・ちなみに愛田さんの要件は課題が終わってないから手伝ってほしいらしい。

「どう?終わりそう?」

「全然終わらないよお。碧くん助けて~」

「ははは・・・無理かな」

「ひどい!」

いやだって最終日に残す方が悪いし・・・

「コーヒーでも淹れようか?」

「いる~」

「・・・舞は?」

「私もお願いできるかしら碧くん」

「了解」

「ふ~ん」

愛田さんがものすごくニヤニヤしている。

「なによ」

「いやあ?名前呼びかあ。もうすっかりカップルだね?」

「?!」

「違うから本当に違うから。もう課題手伝わないわよ?」

「あーごめんごめんって」

そうして愛田さんの課題が終わるまで俺たちは振り回されたのであった。


――そうして次の日

いつものように朝の弱い舞を起こしてから学校に向かう。

そうして学校につき席に着こうとしたところで一人の男子生徒に話しかけられた。

「おはよう水瀬くん、久しぶりだね」

八幡優斗。一学期のころの球技大会でチームになってから少しだけ話すようになった男子だ。友達と呼べるかはわからないけど。

「・・・おはよう八幡くん。久しぶりだね」

「突然で悪いけど、君すごい噂になってるよ」

「え、なんで?」

俺何かやらかしたか?いやでも別に最近何かやらかしたことなんてないし・・・

そうして何のことかと悩んでいると八幡くんがその答えを教えてくれた。

「水瀬くんって姫川さんと付き合ってたりするの?」

「・・・え?いや付き合ってないけど。どうして?」

「夏祭り会場で水瀬くんと姫川さんが一緒に歩いているところを見たって言う生徒がいるらしいんだよね」

なるほど・・・できる限り八幡くんのグループには気を付けていたがどうやら八幡くんたち以外にも来ていた生徒はいたらしい。そして姫川さんはとても目立つので(いい意味で)同じ学校の生徒なら気付くであろう。

・・・というか愛田さんも一緒にいたはずなんだけどな。少し前にいたから気付かなかったのかな。

(・・・どうしよう。こういうのを見られた時の対処法を考えていなかったな)

「姫川さんと一緒に歩いてたってのは本当なのか?」

別の生徒が問いかけてくる。

「ふふん!ここは私が説明してあげようではないか!」

教室の扉が勢いよく開いた。

「はあ・・・面倒な噂が流れてるわね」

そうして一緒に登校してきた舞も教室に入ってくる。

「愛田さん?愛田さんは状況を知ってるの?」

「いや知ってるも何も一緒にいたんだけど・・・まあいいや。舞と碧くんの関係はねずばり・・・」

「「ずばり・・・?」」

「夫婦さ!」

全員が固まった。クラスのみんなも俺も当然声を発することが出来なかった。

いやまじでなんでここでややこしくするんだよ。

そして最初に声を発したのは舞だった。

「って!そんなわけないでしょうがあああああああああああああああああ!」

愛田さんの頭に本気の一発を入れる舞であった。


「いたた・・・舞本気で殴ることないじゃん~」

「あなたがわけわからないこと言うからでしょ・・・」

「ごめんって。舞と碧くんは普通に友達だよ~ちなみに私と碧くんも友達~」

周りが騒がしくなっていたが少しは落ち着いたようだ。

まあそれでも周りの男子はめっちゃ睨んできているけれど・・・

そこで愛田さんが俺に耳打ちをしてくる。

その瞬間に男子の目が殺意を持った形に変わった気がするけれど気にしないようにしておこう。

「これで学校でも少しは話せるでしょ」

とのことだった。学校で話すことが出来るのはいいことかもしれないが日々俺は男子からの殺意に満ちた目の中で過ごさないといけないのか・・・

まあそれでも一番まともでましな解決方法だったのかもしれない。

もしどういう関係か聞かれているのに言い淀んでいるとやっぱり付き合ってるんじゃね?と勘違いされるだろうから。

相変わらず愛田さんの判断は正しい。最初にネタに走ってなければ完璧だったのだけれど。

「まあ、それじゃあ改めてよろしくね”水瀬くん”」

「・・・うん、よろしく”姫川さん”」

そうして俺たちは学校でも友達という関係になることが出来た。


学校でほぼ普段通りにしていいと言っても、俺と舞は学校でほとんど話すことはないだろうと思っていたのだが・・・

「水瀬くん、一緒に昼ご飯を食べない?」

「・・え?いやまあ別にいいけど」

友達として過ごしていいからか舞はめちゃくちゃ普段通りになった。

相変わらず周りにはまだ冷たいけれども・・・

「あー私も一緒に食べる~」

そこに話を聞いていた愛田さんも加わる。

そこでクラスメイトの男子がこっちに寄ってきた。

「あの・・・姫川さんよければ僕も・・・」

「無理」

即答だった。いや今のは男子が悪いとは思うけど容赦ねえ・・・

そうして三人で昼ご飯を共にする。

舞とは普段夜ご飯などは基本的に一緒ではあるので慣れているが愛田さんは出かけた時ぐらいなのである意味新鮮かもしれない。

「今日は二人ともお弁当なんだねえ」

「そうだね」

・・・あれ?弁当といえばなんかまずいことがある気が。

今日は俺が家事の当番だったので弁当は俺がつくった――

(まずい!)

「舞と碧くんの弁当の内容同じ――」

舞も同じことに気付いたのか急いで愛田さんの口を封じた。

俺が二人分作ったので中身は同じである。

こんなことになると思っていなかったから対策などしていない。

(危なかった・・・一緒の家に住んでるなんてバレたら取返しのつかないことになるぞ・・・)

「いやあごめんついつい口が滑りそうになったよ~」

そうして少し小声で愛田さんが謝る。

「口が滑りそうじゃなくてもう滑ってたでしょ・・・」

やっぱり愛田さんは秘密守れないタイプかもしれない・・・

このままじゃいろんなことがバレる可能性が高いから、愛田さんにはどうにかして口が滑らないようにしないといけなさそうだ。

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