第21話 夏祭り編2

今日は8月22日。そして夏祭りが開催されるのは8月22日。

つまり今日が夏祭りの日である。

外に出るのが夜なので家でゆっくりしようと思ったのだが・・・

「お、おはよー碧くん!」

「・・・なんでいるの?」

朝起きたらリビングに愛田さんがいた。まじでなんでだよ。

「朝一で急いで来たんだよ~。色々準備とか舞としたいし」

「さいですか・・・それで姫川さんは?」

「ん?眠いからって言って二度寝しに行ったよ?」

「それ朝一に来た意味ないんじゃ・・・」

「・・・確かに」

どこまでも天然な愛田さんと寝坊助な姫川さんであった。


そうして時間が16時を回ったぐらいに二人がそろそろ準備すると言って部屋に戻っていった。俺もそろそろ準備しておいた方がいいだろう。

昔から母親の仕事の関係上服を着ることもあったので着物とはいえ自分だけで着つけることができるもんである。

そうして準備が終わりリビングで待っていたのだが、突然にスマホが震えた。

メッセージを送ってきたのは愛田さん。なにかあったのかと覗いてみたら。

『ちょっとまだ時間かかるかもだから、先に会場に行っといて~!」

だそうだ。まあここは愛田さんの指示に従った方がいいだろうと思い荷物を持って先に家を出る。幸い徒歩でも対して辛くない距離であるので、心配はなさそうだ。

そうして夏祭りの会場に着いた。


一方そのころ・・・

「で、どんな風に舞は着付けるわけ?」

「どんな風にって・・去年と同じような感じじゃダメなの?」

「いやだって碧くんの目があるんだよ?めっちゃ可愛くしないとだめだよ~舞は」

「いやなんで水瀬くんのために私がおしゃれしてるみたいになってるの・・・」

「違うの?だって前水着回に行ったときもいつもよりおしゃれしてなかった?」

「・・・本当に一夏は何でも気付くわね」

「でしょ~。で、実際碧君のこと好きなの?」

「・・・わからないの。今まで異性のことを全く意識してこなかったから。言えるのは水瀬君は特別ということだけね」

「そっか~。なら舞は碧くんのことを嫌って思ったことはないんだね~よかったよかった」

「水瀬君には言わないでね?」

「わかってるよ。なんたって私は舞の"一番の親友"なんだから」




「うわ・・意外と人多いな」

夏祭りなどに行かなかった俺なので人がこんなに集まるということも知らなかった。

そうして小学生のように周りをちらちら見渡しているととあるグループが目に入った。

(あれは・・・八幡くん?)

そのグループにいたのは球技大会の時に同じチームメイトになった八幡優斗であった。一緒にいるのはクラスメイトの男子数人と女子数人だろう。名前は忘れた。

(姫川さん達が来たら伝えておいた方がいいかもな・・・)

姫川さんは俺たちの関係がバレることは望んでいない。なので回避できるなら回避したほうがいいだろう。

そうして八幡くんたちのグループから少し離れたところに立ち、自分の場所を二人に共有しておく。そうすると10分ぐらいして愛田さんがこっちに向かってくるのが見えた。

「おーい!ごめんごめん待った~?」

ここはなんと返すのが正解なのだろうか。まあ無難に・・・

「全然待ってないよ」

「おっ、碧くんも言うようになったね~。去年とは見違えてるよ~」

「まず去年出会ってすらないんですが・・・」

「それでそれで、どう?着物似合ってる?」

愛田さんが来ているのは赤色をメインとした着物を着ており髪には少しだけ髪飾りなどがつけられている。愛田さんは姫川さんに劣らない程美人ではあるので当然似合っている。

「うん、似合ってると思うよ」

「そっかそっか~まあ碧くんは相変わらず服に着られているって感じだね~」

「うっ」

「・・・やめてあげなさいよ一夏」

そうしてここで本命(?)の登場である。

愛田さんの時もなかなか視線を集めていたものではあるが姫川さんはもっと視線を集めている。相変わらずである。

「・・・どうかしら」

姫川さんが着ているのは青と白をメインとした着物である。はっきり言ってめちゃくちゃ似合ってる。そしていつもは下ろしている髪を着物に合うようにまとめられている。

(どこかのモデルかよ・・・)

周りもあれってどっかのモデルさん?めっちゃかわいーなどの声であふれている。

「・・・水瀬くん?」

「あ、ご、ごめん。ちょっと見惚れてて。その・・・似合ってるよ」

おかしい。愛田さんの時はすらすら出てきた言葉がとても言いづらくなっていた。

しかしそう俺が言った瞬間に姫川さんの顔が真っ赤になった。

「姫川さん大丈夫?!熱でもある?」

「ち、ちがうから!大丈夫よ!」

「・・ねえ碧くん~?なんか私と舞の時で反応違くない~?」

「え?!そんなことないと思うけど・・・」

「ふーんまあいっか。それじゃ出発~」

そうして愛田さんが進んでいってしまう。ちなみに人は多いので普通に迷子になる可能性がある。

「姫川さん、行こっか」

「え、ええ」

そうして愛田さんを見失わないようにしながらゆっくりと歩く。その間にさっきクラスメイトを見つけたことを報告しておいた。

「え?八幡くんたち?なるほど・・・気を付ける必要がありそうね」

「そうだね」

と、ここで愛田さんがある屋台の前で止まった。

「ねえねえ、花火まで時間あるし何か食べない?」

「確かに花火までは時間があるわね。そうしましょう」

花火が打ちあがるのは20時。今は19時前ぐらいなのでまだまだ余裕がある。

「よしそれじゃあ定番のりんご飴から食べよ~」

そうして三人分のりんご飴を買って歩き出す。

「痛っ」

そこで愛田さんの足が止まった。否止めざるを得なかった。

人とぶつかってしまい雪崩のような人混みに巻き込まれそうになってしまっている。


バシッ


だから俺はとっさに愛田さんの手をつかんだ。そうして愛田さんを引き寄せる。

「大丈夫?愛田さん」

「う、うん。ありがとう碧くん」

そうして手を離す。

「それじゃ行こっか・・ん?」

・・・なんか姫川さんが少々機嫌が悪いような。

これは姫川さんあるあるなのだが、俺が愛田さんと何かしている時は少し機嫌が悪くなってしまう。多分本人気付いてないんだろうけど。

とりあえず気にしないようにする。そうして食べ歩きをしたり射的をしたり色んなことをして遊んだ。夏祭りなんて行ったことがなかった俺だが、二人のおかげでまた思い出が一つ増えた。

「それじゃそろそろ花火見るための場所取りでもしますか」

「そうね・・できる限りいい場所で見たいからね」

そうして場所を探しているとスマホが震えた。しかも電話。

(愛田さん?いやでも今はスマホ触ってないし。姫川さんでもないとすると)

スマホを取り出してみると母さんだった。

「ごめんちょっと電話してくるから先に探しておいて!」

「わかったー」

そうして一目のつかないところに移動する。そうして通話ボタンを押して。

「どうしたの母さん?」

「ごめんね碧。夏祭りの最中だったでしょ?」

「うん。けど大丈夫だよ」

「そっか。まあでもこの話は聞きたくないんだろうけど・・・」

「うん?」

やけに母親の気分が低いような・・・

普段なら要件をすぐに話してくれる母さんなのだが今はそんな感じがしない。

「なにかあったの?」

「うん、実はね・・・父さんが碧も含めて話したいことがあるから今度家を訪ねるって言われたの」

「えっ?」

一瞬で周りの音が聞こえなくなった。まるで地獄にいるような気分だった。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

りんご飴って美味しいですよね~

まあ私はりんごがアレルギーなので食べれないんですが。

少しの間だけでも投稿頻度あげれたらと思ってます。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る