第7話 学校2日目

「…」

寝起きの俺だが、絶賛気分が悪い。

まぁその理由は今日見た夢のせいだ。

とは言っても今は父親のことより学校の方が大切だ。そう今日は学校2日目。

「友達絶対作ってやる…」

昨日買い物に行くのを忘れたので、家から持参した緊急食糧のパンを食べながら考えながら朝食を済ませる。


「そういえば姫川さんの姿がないけどもう学校に行ったのかな?」

今は7時50分。うちの学校は8時30分までに登校しないと遅刻なので、俺は基本的に7時過ぎくらいには起きるようにしている。

ちなみにだが、ここの学生寮は学校まで10分ぐらいはかかるのでもう少ししたら俺は出る時間だ。

「…心配だし一応確認するか。」

姫川さんの部屋は俺の隣の部屋なので、姫川さんに部屋の前に行きノックをしてみる。


「姫川さん起きてる?大丈夫?」

かなり大きな声で言ったので既に登校している場合を除けば返事は帰ってくるだろう。

「──んー」

どうやらまだ部屋に入るようだ。でもなんか声が寝起きっぽかったような…

「姫川さん大丈夫?なにかあった?」

「んー?…えっ?!今何時?!」

「7時50分だけど」

「やばいやばいやばい!遅刻する!」

そう言ってドアを勢いよく開けて出てきた。

髪の毛が少しボサボサで可愛かった。


急いで朝食を食べる姫川さんの対面に座り話しかけてみる。

「姫川さんって朝弱かったんだね…」

「…ほんはわへはいでひょ」

「いや無理があると思うよ?」

「…今日はたまたまよ。たまたま今日はお母さんがいなかっただけ。」

「いやこれからはずっといないよ????」

「うぐっ」

「アラームかけたりしないの?」

「…アラームかけても癖で寝たままアラーム解除しちゃうのよ…」

「すごい癖ですね」

どうやら姫川さんは極度の朝嫌いらしい。

…姫川さんのお母さん今までお疲れ様でした。


「あっ、そうだ」

「どうしたの?」

「学校では私たちのことに関しては言及しないこと。いいね?」

「うーん…まぁそうだね。わかった」

「なに?私との関係を使って友達でも作ろうとしてた?」

「イヤソンナワケナイデショ」

「カタコトになってるわよ」

まぁ少し考えていただけでそんなことは絶対にしない。だってその友達は自分が前に嫌がった、姫川さん目的で接してきた友達であるのだから。

それに姫川さんにも迷惑がかかるだろう。


「それと、スマホ貸して?」

「?まぁいいけど」

俺は姫川さんにスマホを手渡す。

「ありがと。…っとこれでよし」

姫川さんが俺のスマホと姫川さん自身のスマホを扱い何かを操作する。

そうして姫川さんから返されたスマホには姫川さんの連絡先が。

「…えっ?」

「何かあった時とかに連絡は必要でしょ。何かある時はこれで連絡すること。学校では話さないようにするから」

「あわわわわ」

「急にどうしたのよ…なに?女の子の連絡先を貰うの初めてで戸惑ってるの?」

「…その通りですがなにか」

「…なんだかあなた悲しいわね。まぁいいわ、そういう事だからよろしく」

いや普通はそんなに女の子の連絡先なんて持っていないだろう。それが姫川さんのものであるなら尚更。そして、『って時間が!』と言って部屋に突っ込んで行った姫川さんだった。

…その後はもちろん1人で学校に向かった。

一緒に登校するイベントなんてあるわけが無かった。



学校にて

今日から授業が早速始まるということで今はテストや単位などの説明を受けている。

…ちなみに姫川さんは大急ぎで時間ギリギリに教室に入ってきた。直ぐに澄ました顔で席に着いたが、無理があるだろうと思った。

周りの男子たちはやっぱり今日も可愛いよな〜と言っていた。…バカしかいないのかな。


4限目が終わり昼休み。相変わらず俺はぼっち飯を堪能していた。2日目だし友達作るぞと意気込んでいた俺だったが、全くダメだった。

まずしゃべりかけること自体無理だった。

ちなみに姫川さんは女子の友達と一緒にご飯を食べている。そんな様子を見て男子たちが色々話している。

「やっぱり姫川さん可愛いよなぁ」

「ね。でも隣にいる愛田さんもなかなかに美少女だよなぁ」

愛田さん。愛田一夏。普段から姫川さんと一緒にいる女子で姫川さんに負けないぐらいに可愛い美少女だ。姫川さんが異次元なだけで告白も良くされるのだとか。ちなみに性格は姫川さんと違い、明るい感じの性格である。

…明るい感じの性格の女子は大の苦手なので話す機会は少なそうである。

そんなことを考えていると…


「あ、あの!姫川さん!」

「…なにかしら?」

愛田さんと話をしていた姫川さんの顔が明らかに不機嫌になったのがわかる。

「ちょ、ちょっと話があって屋上に今から一緒に来てもらってもいいかな…?」

今姫川さんに話しかけているのはクラスメイトの男子(名前は覚えていない)。

周りから『あーあ』とか『あいつには無理だって…』など色んな声が聞こえてくる。

まぁ誰でも状況的に察するとは思うだろうが、恐らく告白だろう。…まだ学校始まって2日目なんだけどね…。


「ごめん一夏。ちょっと行ってくるね」

「うん行ってら〜」

そう言ってクラスメイトの男子について行く。

そうして2分後。何も無かったように姫川さんは帰ってきた。ちなみに男子の方はおぼつかない歩き方で帰ってきていた。

…おそらく相当酷い振られ方をしたのだろう。

まぁそりゃほとんど話したこともないクラスの男子に急に告白されても、返事に困るだけだろう。

まぁ姫川さんなら慣れてそうではあるが。

ちなみにだが姫川さんに色々質問をしていた愛田さんはケラケラと笑っていた。


愛田さん恐ろしや…できる限り話すことがないことを祈りながら今日の予定について考える。

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