第2話 氷姫と呼ばれる君2

さて、自己紹介(事故紹介)を無事に終えたので、うちのクラスは始業式を行うために体育館へ向かっている。

ちなみに姫川さんはどうやら一年生を代表して挨拶があるらしい。

…これはまた先輩たちが騒ぎそうな気もするが。


「──というわけで私からの話は終わりです。次に一年生を代表して姫川さんお願いします。」


「はい」


校長先生のありがたーい話が終わり入れ違いで姫川さんが壇上に立つ。すると予想通り先輩や他クラスが騒がしくなった。


「あの子めっちゃ可愛くね?」


「わかる。今年の一年は当たりだな」


「くっそぉ姫川さんと同じクラスがよかったなぁぁ」


「きゃ〜姫川さんかっこいい〜」


…主に騒いでるのは男子だが、どうやら女子からも人気があるらしい。その人気を少し分けて欲しいぐらいだ。俺も少し興味が湧いているものの、みんなのように騒いだり、露骨に話しかけたりはしない。


始業式を無事に終え、教室に戻った俺は帰りの準備をしていた。今日は入学式が終わったら帰宅である。…帰宅と言っても今日から俺は学生寮で過ごすことになるのでものすごく緊張している。

というかなんなら今日はそのことばっかり考えている。荷物は後日届けられるということらしいので今日は最低限のものだけ持ってきている。


帰りのHRを終え各々教室から出ていく。

ちなみにHRが終わってからも先輩などが姫川さんに質問などを投げかけていたが、

例の塩対応というやつで全員フル無視してた。

なかなかえげつない。


これは余談だが、初日から告白もされていたらしい。早過ぎないか?と思ったがまぁ一目惚れということなのだろう。まぁ悔しい顔して帰ってきた男子を見れば結果は分かりきっているのだが…

その生徒は姫川さんに

「あなたのこともよく知らないのに告白されてもなんにも思わないわよ。はっきり言って気持ち悪いわ」

と断られたって言っていたが。俺は聞かなかったフリをした。姫川舞、恐るべし。


まぁ姫川さんの事は一旦頭の中から追い出すとして。俺の問題点はここからである。

学生寮。そう、俺ともう1人の生徒の2人きりの学生寮生活。心配でしかない。


「どんな男の子なんだろ…仲良くできるといいな」


ちなみに先生にどんな人なのか聞いたのだが、行けばわかると言われてしまったのでもう覚悟を決めて行くしかない。そして2人きりの理由だが、どうやら他の学生寮はほとんど人数的に埋まっているのに対して、テストが高得点が条件のこの学生寮だけは空いていたらしく、入試で高得点をたたき出した俺には丁度良かったらしい。

…俺の他にも高得点を取っている人はいると思うのだけれど、まぁおそらくこの街に住んでいるので学生寮に行く必要が無いのであろう。と、解釈している。


「ふぅ…ここか…」


とうとう学生寮の部屋の前に来てしまった。

学校では姫川さんという大きな存在があったが、この学生寮では関係ない。今は姫川さんよりこの部屋の中にいる同居者となる男の子の方が重要だ。

覚悟を決めてドアノブを握り扉を開ける。


「お、お邪魔します。」



「……え?」


「え?」


俺は目を見開いて驚いてしまった。

それも無理はないだろう。扉を開けた先には銀髪を綺麗に靡かせる美少女、『姫川舞』がいたのだから。

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