第17話
そろそろキャラ設定書きます
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黒狐の正体、征司のことがバレてから一夜が明けた
テレビをつける全放送局が昨日のことを報道され征司の名前まで特定されていた。念のためSNSも確認するが案の定というべきか、トレンドが黒狐と佐伯征司で埋まりきっている。
「ですよねー・・・」
征司は頭を抱えながらスマホを投げ捨てる。幸いなことに学校側は良識的だったのかしばらく休んでもいいとのことだ。だが、きっと今頃は学校内はこの騒ぎで校舎を揺らしている事だろう 征司が頭を抱える理由はそれだけではなかった、それは天音から早朝届いたメールの内容だった。
要約すればこれだけの大事なので近々記者会見的なことをしなければならない可能性があるというものだった。
「はぁ・・・」
征司はため息を吐く、この騒ぎがいつまで続くかは予想ができない。もしかしたらずっとこのままかもしれない。それだけ男でクライマーというのは異常性を持つものだ。だが征司が1番恐れていることがある。それはクライマーの資格の剥奪をされること。征司がこの世界に生を享けた時よりかは男の扱いがマシになり自由はあるがそれでも命を落とす可能性があるクライマーにしておくとはまた話が別になる。一応布石は打ったが今は時が来るのを待つだけだ
それから数日、やはりというべきか天音から・・・ギルドから連絡が入り記者会見を開くことになってしまった。
さらに数日が経ち、征司は天音に連れられギルドではなく日本が誇る東京のホテルにいる、ここが記者会見の場だ。
「とうとう来ちまったか・・・はぁ・・・」
征司はため息を吐きながら天音の後を付いて行く、記者会見を始める前にある人に挨拶をしなければならない。ホテル内を歩いて数分、一つの部屋の前に着くと天音がノックする
「失礼します、北条です。佐伯征司様をお連れしました」
「どうぞ」
部屋の中から声が聞こえる、天音は扉を開け中に入ると征司もそれに続き部屋に入る。そこはホテルの宿泊室というより事務室のようにテーブルとソファなどしかない簡素な部屋だった。
そこにはスーツを身にまとい、出ているところは出ている腰ほどまである黒髪をなびかせている女性が笑みを浮かべ座っていた
「久しぶりだね、征司君」
「はいお久しぶりです、
彼女の名前は北条
「フフ、とうとうバレてしまったね、まあ座り給え、天音もこのメンツだ楽にするといい」
麗華の呼び掛けに征司はうなずくと麗華の対面になるようソファに座り天音はその隣に座る
麗華はゆっくりと話し始める。呼ばれた理由は記者会見のことだ、一体どんな質問が飛んでくるのか予想もできない。だが麗華の表情は柔らかいのを見るにそこまで緊張するものではないのかもしれない、とはいえ記者会見は多くのマスコミがいるもの、決して友好的な質問だけではなく揚げ足を取るようなものもあるだろう
「と言ってもまあ謝罪会見ではないんだ、そう緊張するようなものではない、そもそもいずれバレるだろうとは思っていたのだから」
「それについてはすみません、でも俺、クライマーやめるつもりはありませんから」
「わかっているさ、たとえこの会見で世論がやめてほしいと言っても君はクライマーであり続けるだろう」
麗華は微笑みながら答える。やめさせられるならとっくにやめってもらっている、だが絶対にやめないという意志を示すように征司は首肯するその言葉に満足し麗華は久しぶりに会った親戚にするような他愛もない世間話を始めた。そうしているといつの間にか会見の時間に近づいてるのに気づき重い腰を上げる
「姉さんもうすぐ時間です」
「そうか、もう時間か、さて・・・では征司君、行こうか」
「はい」
麗華はソファから立ち上がり扉へ向かう。天音が扉を開け征司が後を付いて行く。この会見で何かが大きく変わるかもしれない、そんな一抹の不安と期待を胸に秘めながら征司は記者会見の場へと足を運んだ
会場はすでに多くの報道陣が所狭しと座っておりまだかまだかと騒いでいる。まだ開始まで時間があるにもかかわらず凄まじい熱気を肌で感じる
「・・・帰っていいですか・・・?」
「主役なんだから駄目に決まっているだろう」
「頑張ってください、征司君」
麗華と天音は微笑を浮かべながら征司の背中をポンと叩く、だが叩かれた本人は今すぐにでも帰りたい衝動に襲われる。
そうこうしているうちに時間となり、麗華が先に上がる。征司も鳴り続けている心臓を落ち着かせるために深呼吸すると意を決して会場に足を踏み入れる。すると報道陣は征司の姿を見ると一斉にカメラを向けフラッシュの嵐が視界を白く染める、だが閃光にも思えるフラッシュにも動じず堂々と歩み進める。そして用意された壇上に上がり椅子に座ると麗華はマイクの電源を入れ記者会見を始めた。
「えー、お集まりいただき誠にありがとうございます。ただいまより記者会見を始めさせていただきます。司会進行役の北条麗華と申します。」
麗華が挨拶をするがフラッシュは止まらない、だが麗華は意に返さず淡々と進めていく。
「ではまず質問の前に彼に簡単な自己紹介をしてもらいましょうか、征司君」
「はい、ご紹介に預かりました。佐伯征司です、この度は別に悪いことをしてないのにこのような会見を開くことになり皆様にご足労いただいていることについて謝罪致します。」
征司の自己紹介によりフラッシュの嵐は一斉に止まり場の空気を冷やす、麗華は笑いを我慢し裏にいる天音は頭を抱えている。そして一呼吸置くと麗華は質問を始める
「んん・・・では質疑応答に移りましょう、何か質問がございましたら挙手を」
記者たちは一斉に手を挙げ始める、当たり前だが女性しかいない、麗華は一通り見渡しながら記者を指名し始めた
「では最初の方、お願いします」
麗華に指名された記者は立ち上がると自身の会社を言い軽く自己紹介すると質問を始めた。
「まず初めにお伺いしますが、先ほどの発言、悪い事とは認識していないという事でよろしいでしょうか?」
「ええ、大前提に俺は悪くないと思っておりますから」
「それはどういう考えなのでしょうか?」
「?・・・発言の意図がよく分からないのですがそもそもなぜ男だからという理由でクライマーになることが悪いのでしょうか?」
記者は質問の意図が理解できず首をかしげる、そして征司の発言にまた会場は騒ぎ出す。記者たちは顔を突き合わせ少し話をするとさらに質問をする
「・・・ではなぜ男という身分を偽って黒狐として活動をされていたのでしょうか?」
当然の質問、悪いと思っていないのであれば佐伯征司として活動すればこのような会見を開くことはなかった、だがそうしなかった理由を聞かれるのは分かり切っていた事だったが記者たちが回答を待つ
「それについてだけは謝罪をしますが皆さんも思っている通り俺は男です、異常と思われるかもしれませんが俺はクライマーになりたかったんです。しかし男でクライマーという前例がないものですから普通に登録しても許可が下りない場合や許可されてもかなりの混乱が起きる可能性があると予想しました。さらに言い方は悪くなりますが俺は初めから強いわけではなかったので下手をすれば食い物にされていたかもしれないので偽って黒狐として活動していました。」
征司はここで初めて頭を下げ謝罪する。だが記者たちはなおも食い下がるまるで素材が足りないと言わんばかりの勢いで征司を質問攻めにするが今度は征司ではなく麗華に向けらえれた
「北条麗華さんにお尋ねしたいのですが今回のことは佐伯征司さん一人で出来るようなことではないと思われますがギルドは認知していたのでしょうか?」
「もちろん認知しています。そもそも征司君の、男でクライマーになるのを認め、また黒狐いう仮の姿を用意したのは私ですから」
麗華が発言した瞬間、記者たちは一斉にざわめきたつ。麗華は畳みかけるように説明を続ける だが記者たちはそれに納得がいかず質問を重ねていく。
「黒狐というクライマーはソロで活動していたとお聞きしますが護衛のようなものは着けなかったのですか?それで数少ない男性が死亡した場合、貴女はその責任をどう取られるつもりですか?」
「・・・・・・・・」
麗華はこの質問に若干苦虫を潰す、男のクライマーというのは百歩譲ってまあ良しとしよう、だが数少ない男を死ぬ可能性がある事を護衛もなしに活動させているのはいかがなものかと記者は質問する。
麗華もそれは承知の上だ
「確かに当初は信用できる者をつけようと思いましたが本人の希望と、とある事情により護衛をつけない形になりました」
「とある事情とは?」
麗華の答えにさらに記者は質問を重ねる、そして麗華は征司に目線を向けると征司は頷く、その様子を見た麗華は口を開く
「その事情とは・・・・」
話そうと口を開いた時会場の入り口が勢いよく開く、全員が一斉にドアの方へ顔を向けるとそこには一人の女性がいた。
その女性はシャツとジーパンというラフな格好、肩ほどある藍色の髪をなびかせ鼻歌を歌いながら会場に足を踏み入れる、そして征司の前まで微笑むと記者たちに向かって言葉を放つ。
「私の息子がすることに何か問題でもあるのか?マスコミども」
貞操逆転世界?それより戦いを!! U-YA @502384
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