第5話
モンスター・・・バベルに存在する架空と思われた存在、姿形は様々な者がおり共通して体内に魔石と命名されている物があり倒しても消滅せずその素材は様々な用途に使われる。なおゴブリンなどは魔石以外価値はない
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征司たちがバベルに入るとそこは広く石造りの通路で出来いる迷宮のような作りをしていた
「それでは絵梨さん歩きながらいくつかおさらいをいたしましょう。ちなみに何階層までソロで行けましたか?」
「ええっと5階層です」
絵梨の言葉に花蓮は頷いて話を続ける。
「まあ、一般の方ならそんなものでしょう。ソロで5階層まで行けたのは素晴らしいですがその装備でさらに登ろうとするなら些か心許ないですわね」
「え、そうなんですか?これ結構したんですが」
絵梨が装備しているのはスターターキットと呼ばれるもので、鎖帷子と膝から下までのレッグアーマーだけの最低限の装備、武器は別売りで20万円もする装備だった。
「本当に初心者向けのものですからね。武器のほうも同様最低限の武器ですわね」
「本当はもっとちゃんとしたものを持っていたんですけど壊れちゃって修理できるお金がなくて・・・」
絵梨は征司と会った時のことを思い出す、少ない稼ぎからコツコツ貯金をしやっとの思いで手に入れた武器、それを不慮の事故ですぐに失うなんて思いもしなかった。だが事故とはいえ男である征司に出会いこうして一緒に探索できるのは不幸中の幸いだったと、なお壊れた武器は思い出の品として家に保管してある
「それは大変でしたわね、まあ修理費ぐらいならすぐに貯まりますわよ」
花蓮は絵梨を鼓舞し前向き歩き出すが絵梨はある事に気づいたのだ征司が武器を持っていない?そのことに気づき征司に声をかける
「s、黒狐さん武器は?」
「・・・これ」
その言葉と共に征司は手を前に出す、すると空間が歪み剣が出てきた
「・・・・・・!?」
「・・・相変わらずズルいですわねその魔法」
「何がズルいんだ」
征司の言葉に花蓮はため息を吐いたあと固まっている絵梨に向けて口を開く
「・・・ハァ・・・黒狐様がしたのは空間魔法です、武器やアイテムなどあらゆる物を圧縮して収納できるというとても便利で強力な魔法ですわ」
「あれが・・・魔法」
絵梨は初めて見聞きした魔法に驚き感心していた。
「えぇ、しかも空間内では時の流れが遅くなりますので新鮮な状態で物を出し入れもできますの、ただ入れられる容量は個人で異なります」
「あと付け加えるなら攻撃に転用するような使い方はできん」
花蓮の言葉に補足するように征司が説明を加える。その説明に花蓮は頷く
「攻撃まで出来たらそれこそチートですわね」
「・・・それで絵梨、本当は今日で最低でも10階層を突破するつもりだったが小太刀の提案とお前の武器事情を鑑みて・・・今日は金策して後日10階層を突破することにした」
征司の言葉に絵梨は元気のいい返事をする
「わかりました!」
征司は返事を確認すると歩き始める、それに続き花蓮も歩き出し絵梨も2人についていった。その後育成もかねて絵梨をメインに戦わせ会話を交えながらも探索を始める、ソロで5層までは行っているので道中はそこまで苦戦はせず順調に進んでいき5階層に突入
「ではおさらいの続きですここまでのモンスターはスライムやゴブリンといった比較的弱いモンスターだけでした、ですがこの5階層から種類の違うゴブリンが3種類程います」
そう言い暗闇のほうを指さす花蓮、そこから出てきたのは弓を持つゴブリン、杖を持つゴブリン、そして最後に170センチほどの赤いの肌で大きな棍棒もつゴブリンが現れた
「というわけで・・・運がいいですわね絵梨さん、頑張ってくださいまし」
「え?あれを・・・私1人でですか?」
征司はただ無言、花蓮は満面の笑みを浮かべて頷くだけ、この時絵梨は花蓮もスパルタだったと絶望していた
「ほら、ぼさっとしないで前を向きなさい」
花蓮の言葉に絵梨は思考を切り替え剣を構える。不測の事態に備えるために後ろで待機する征司と花蓮
「まずは杖を持つがゴブリンメイジ、魔法を使うので注意してください、と言いてもこの階層のはせいぜい水を飛ばす程度です、次に弓を持つのがゴブリンアーチャー、文字通り矢を放ってきます注意してください、最後にホブゴブリン、あれが一番厄介でこの階層の所見殺し今のあなたの防具で受ければ致命傷です注意を」
花蓮の言葉に絵梨は頷きながらゴブリンたちを観察する。するとゴブリンアーチャーが矢を放つ、それを合図にホブゴブリン叫びながらが絵梨に接近し棍棒を振り下ろしてた。
絵梨はギリギリでそれを回避しすぐさまホブゴブリンに向かって剣を振ろうとする、しかし視界の端に捉えたゴブリンメイジが放った水がこちらに来るのに気づき無理やり攻撃を止め後方に飛び回避した
「はぁ・・・はぁ・・・」
この間わずか数分、今までと違い一撃でもまともに食らえば大怪我確定の攻撃をしてくるゴブリンたちに絵梨は緊張しすでに疲労困憊の様子だった。そんな様子を見て征司は花蓮に話しかける
「・・・なあ小太刀」
「なんですの?」
「お前ならあのゴブリンたち相手にどう戦う?ソロとパーティーでは違うのだろう?」
花蓮は今まで沈黙を貫いていた征司からの唐突な問いにキョトンとしていたがすぐに苦笑いを浮かべ答える
「そうですわね、まず今の絵梨さんすべて同じにするのであればまずソロで戦おうとはしません、最低でも武器を更新して挑みます。そうしてメイジやアーチャーを先に潰し余裕があればホブを、場合によっては撤退を視野に入れ挑みますわね」
「・・・・・・」
花蓮の答えに征司は絵梨を見ながら無言で耳を傾ける。その横顔を花蓮は見続けていたが
「さて、そろそろお助けしましょうか」
そういい花蓮は背中に背負った戦斧を掴もうとしたとき征司が手で静止をかけた
「小太刀もう一つ方法がある。今、絵梨がやろうとしているあれだ」
その言葉に花蓮は絵梨を見つめる。相も変わらずギリギリでホブゴブリンの攻撃を避けているがおかしな点があった。
「へぇ・・・なるほど」
花蓮はの視線の先、ホブゴブリンの数か所に矢が刺さり所々濡れている部分もある。
絵梨がやっているのは単純メイジとアーチャーの射線上にホブを誘導させているのだ
その結果徐々にホブの体力は削られメイジとアーチャーの攻撃頻度が減ることになり絵梨に勝機が生まれだした
「やっていることは単純、だが常に全体を見続けなければこうはならないよくやっているよあいつは」
狐面の中征司は笑みをこぼしている。当初状況に応じて助けに入ろうとしていた、だが絵梨が存外頑張っているので見続けていたがまさかここまでできるとは予想していなかった
「ふふ、意外と面白いですわね?こういう初々しい姿を見るもの」
花蓮も笑みをこぼし絵梨のほうを見ると今まさに決着の時が来ようとしていた。
「グガァァアァァ!!!!!」
なかなか殺せない絵梨にしびれを切らしたのかホブゴブリンは怒りだし今まで片手で持っていた棍棒を両手に持ち替え振り回す、両手で持ったことで振る速度は上がっているがゾーン状態に近い絵梨には当たらず隙を作ることになった
「ハァァァア!!」
その隙を逃さず絵梨はホブゴブリンの首めがけて剣を振るう、剣はホブゴブリンの首に食い込み首が宙を舞う。絵梨の勝利だ
ホブゴブリンが倒されたことによって優位に立っていた自分たちが負けると感じたのかメイジとアーチャーは逃げていった
「あ!待て!」
すぐに追いかけようとするが今までの疲労で足がおぼつかない。絵梨は倒れそうになったが誰かに支えてもらい転ばずに済んだ
「おっと、大丈夫ですか?」
そこにいたのはいつの間にか横にいた花蓮だった。
「花蓮さん!残りが!」
慌てて逃げて行ったゴブリンたちを指さすが花蓮は笑っていた
「フフ、もう終わっています」
「え?」
花蓮が指を指したゴブリンたちが向かった方向には今まで後ろにいたはずの征司が立っており手にはゴブリンたちの魔石を持っていた。
「終わったぞ」
「はい、お疲れ様でした。絵梨さん大丈夫ですか?」
征司の言葉を聞いた花蓮はゴブリンたちを倒したことを告げる、それを聞いた絵梨は緊張が抜けその場に座り込んでしまった。
「・・・よかったぁ」
そのまま大の字に寝転がり安堵のため息を吐いたのだった。その後息も絶え絶えに2人に感謝を述べる
「はぁ・・・はぁ・・・黒狐さん花蓮さんありがとう・・・ございます」
「感謝を述べられることはしていませんわ、お疲れ様です。でもよくあんな戦法を思いつくなんてお見事です」
「よくやった」
花蓮は絵梨の戦い方を、征司は短く誉めた
「いえ、運が良かっただけで・・・」
照れる絵梨に征司は手を出す、絵梨はそれを取り立ち上がり感謝を述べる
「あ、ありがとうございます」
「では当初の目的通りお金稼ぎをしましょうか」
「ちょ、待」
その言葉に絵梨は絶望した、未だ疲労は癒えず体も重い、だがそんなことお構いなし征司たちは探索を進めようとする
「安心しろ、さすがに今の状態で探索を続けようとは思わん。とりあえず休憩をはさみながらここで金策をするから」
「は、はい」
征司の言葉に安堵すると絵梨は2人に付いて行く。
当初の考えとはかなり大きく変わったがそれでも絵梨の見せた力にこれからの成長に期待が持てた征司は笑みを浮かべる
その後3人は5階層で探索を続けること6時間、目安ではあるが100万ほど稼げただろうというところで探索をやめバベルを下りギルドへと戻って行った
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友人Q&A
Q5:主人公影薄くね
A5:自身でもそう思っているが主人公最初から強いしまず序盤はヒロイン枠的な視点で主人公を見せた方がいいと思っている反省はしてない
Q6:征司と黒狐が同一人物だけど地の文は征司で統一?
A6:その予定だがわかりにくいとか言われたら変える
Q7:黒狐としての口調は変えないの?
A7:それは考えたが逆転世界なら男口調でも普通にいるだろうからそのまんま
Q8:戦わないじゃん
A8 :すまんな
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