第2話 友人に相談-1

 発達障害の検査を受けると決心するのには、かなりの勇気がいった。


 発達障害と診断されるのを恐れていたのではない。

 発達障害ではなかったときのことを恐れていた。


 発達障害でもないのに、生きづらさや仕事のできなさを発達障害のせいにしていたとしたら。


 そりゃあんた、あんまりだよ。本当に発達障害で大変な思いをしている人たちに失礼じゃないか。無能さをありもしない病気のせいにするんじゃありません!


 と、俺の中のおかんがキレちらかしていたのだ。


 断っておくが、これは俺が俺自身を叱咤する厳しいお言葉なだけである。


 生きづらくて自分が発達障害かもしれないと悩んでいる人や、グレーゾーンで苦しんでいる人たちに対しては、そんなこと思っていない。

 自分に対して思うだけで、他人にはそんなこと思わない。だから誤解しないでくださいね。この世の中生きるの辛いよね。


 話を戻すが、そんな感じで俺は検査を受けるのをためらっていた。

 ためらいついでに、何人かの友人に相談した。


 一人は、精神科の看護師だ。

 その子に「俺発達障害かもしんねえ……」と相談すると、こう返ってきた。


「知的障害があるのかな?って印象は私はないかな。まあ通話してて、『こいつ全然話聞いてねえな……!』てときがちょいちょいあったから、聞き取り困難症なんかなって思ってたけど」


 俺自身、勉強などでそこまで困った記憶はないので、知的障害ではないと思っている。

 話を聞いていないことに関してはスマン、お前の話に興味なかったから別のことを考えていただけだ。


「もともと女性ってのはシングルタスクな人が多いし、実際どうなんかは分からんなあ」


 俺は友人に、一番気になっていたことを尋ねた。


「ずっとモヤモヤしててさ。検査受けたいなあって思うんだけど、明らかにやばい、みたいな感じじゃなくても、検査受けに行っていいんかな? 医者に白い目で見られないか不安でさ……」


 それに対しての返事はこうだった。


「検査受けに行くのすごい勇気いると思う。でも別に病院側は白い目で見てくるとかはないと思うで。自分でおかしいな?と思って受診する人もおるし、周りに勧められて受診する人もおるから大丈夫や」


 この言葉にどれほど勇気をもらったことだろうか。


 彼女は看護師なので、俺はこういった相談を彼女によくする。

 鬱かもしれないと思ったときも、肩が痛くなったときも、月のものが止まったときも、彼女に「病院に行ってもいいか。それとも行ったら迷惑か」と尋ねる。


 彼女はいつも「行け」と言う。


「どんな人が来ても迷惑なんて思わない。違和感があるなら病院に行け。何もないのが一番いいし、何かあるのに病院に行かないのが一番ダメ」


 聞いていますかみなさん。

 ちょっとでも「おや?」と思うことがあれば、病院に行きましょう。

 うじうじ悩む暇があれば行け。

 私は彼女にそれを教えてもらいました。


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