第26話 完結

またやり直すことにしたんだ。権田にあの時駅で会ってから全てが良い方向に動いたんだ、と言う上芝が健三に右手を差し握手を求めた。

「それを言うなら美里ちゃんの出品を上芝が落札した時からだよ」

 確かにな、と上芝は幸せそうに笑った。

「誠君、美里ちゃん、駅での事はウソを言ってごめんね」

「権田さんは悪くないです。世の中には良いウソもあるんだなって知りました」

 夏休み明けには籍を入れので、姓が野中から上芝に戻ります、と元気に二人は声を揃えた。上芝は照れながらケーキを選び出した。

「夏バテとか、熱中症に良いスイーツも考えといてよ」

 上芝の無理っぽいリクエストを受けた健三の脳内には、梅ロールが完成した時に浮かんだ新スイーツの案が頭の中にあった。

「わかった、良いスイーツが何となく浮かんでるよ。次に来てくれた時にはケースに並べるように頑張るよ」

お買い上げのケーキに結婚おめでとうと書いたプレートをこっそり健三は乗せた。

 誠と美里は上芝と綾と四人で笑い合いながら自宅方面に歩いて行った。、健三は上芝との会話でリクエストされた夏の新作スイーツ案をメモに書いた。新しいスイーはまた次回のお話で。

                 「了」

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パティシエ探偵 大和 真(やまと しん) @ysf40neo

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