第21話 ページ41.42 上芝の本心は?

少しでも美里と誠に会う事が出来る。少なくてもお金を支払う事で小遣いにはなるだろう。

上芝も、妻とは別れたと言っても、二人は自分の子供なのだ。この推理を上芝に話すと飲みかけの缶コーヒーをこぼすほど驚いた。全てが当たっていた。健三も美里と誠に頼まれていたことを話し、元奥さんは無関係だと説明した。

「そっか、綾が知らなくて助かった。離婚は俺のギャンブルが原因だし、子供達には絶対会わないと約束させられたんだ。金もなかったから養育費も払えなかったしさ。綾の言い分を全て認めての離婚だったんだ」

 二人は駅のホームのベンチに座り、お互いに今回の件を詳しく説明した。

 上芝は子供たちと綾には言わないで欲しい、と頼み込んだ。もちろん健三も、全てを話すつもりはなかったのだが、こうなると美里と誠への説明が難しい。正直に話すのは上芝にも申し訳ない。かと言って、何も分かりませんでしたと美里と誠に話すもの申し訳ない。尾行で分かったことがあれば連絡すると言っているので、名案はないかと考え抜いて双方が納得出来そうな答えが浮かんだ。

「上芝は森山のままで居よう。森山は亡くなった美里ちゃんと誠君のお父さんの友達、いや親友だった。離婚して、二人の子供を遺して病気で亡くなったんだ。森山は親友の子供が小遣いを稼ぐためにネットで出品していることに気がつき、定期的に買って、親友への手向けになればと購入を続けていた」

「凄いよ権田。それで完璧だ。綾には知られずに、誠と美里も俺の事を変に思わない。今後も購入して二人を支援出来る。でも、その情報をどこで知ったことにするんだ?」

「それは名案が浮かばないんだ。正直に駅で森山に話しかけられた事にでもするよ」

 これで辻褄の合う話に持って行けそうで、二人は近況を話し合った。健三がスイーツショップをしている事を知った上芝は今度寄ら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る