第20話 ページ39.40 森山は同級生の上芝?
した。一緒にコンサートに行けたら良いなと話をしていたが、二年に上がる時にクラスが離れそのまま疎遠になっていた。
帽子を脱いだ自称森山は健三の知る上芝だったのだ。
「待ち合わせ場所の近くの喫茶店に三人で居たよな?美里と誠と一緒だったから気がついたんだ」
健三は上芝の洞察力に驚いたと同時に見られていた事を悔いた。考えを逡巡させ正直に話す事にした。
「上芝、久しぶりだな。良く俺だって分かったな。こそこそと後を付けてすまない」
健三は上芝に深く頭を下げ、駅のホームの人々が興味本位でじろじろ見ていた。
「おいおい権田、こんな所で頭を下げないでくれよ。どうせ、変な人がいつも商品を手渡しして欲しいって言われるので調べてくれって頼まれたんだろ」
綾が頼んだのか?と上芝は付け加えた。さらに健三の頭はこんがらがって来たので、三人の話を聞くときに自動販売機で買ったコーヒーを一本上芝に渡し、健三もプルトップを開けた。二本買っていて良かったとこの状況に合わない考えをしながら飲んだ。冷えた缶コーヒーを二口ほど飲んで考えが落ち着いてきた。
「綾と言うのは美里ちゃんと誠君のお母さんなのか?」
健三の問いに、上芝が綾は関係ないのか?と質問を返された。
健三は段々と話の筋が読めて来た。美里と誠の母親は綾、目の前にいる上芝は綾の別れた元旦那で、美里と誠の父なのだと推理した。偽名を使うのは、綾からはお父さんは亡くなった事にする、と言われて別れたのだろう。商品の手渡しは、振り込みの際の名前が森山に出来ないからだ。偽名では振り込みが出来ない。上芝の名前で振り込むと、綾に気づかれるかも知れない。そして、手渡しにすれば
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