第19話ページ37.38 健三と森山は知り合い?
校だった男だ。名前は……名前……。
「芝、芝、上芝だ」
森山と名乗っている男は、健三の同級生の上芝だった。当時は生徒数も多く、一学年で十クラスもあったので話した事はほとんどないが、間違いなく同級生の上芝だ。健三は頭が混乱してきた。森山が上芝で、健三と同級生、美里のネット販売商品を買い漁る、兄の誠も同伴でも良い。
自動販売機で飲み物を迷うふりをし、三人の会話に耳をそばだてた。
「お兄ちゃんは高校でサッカーやってるんだ。スパイクとかも出品してくれたら買わせてもらうよ」
こんな会話が健三には聞こえた。
「それじゃ、また」
森山が言って立ち去った。ここで謎が解けていなければ、健三は森山の後を追い、美里と誠には帰るように伝えていた。森山が駅のホームに入り、四番線方面に向かった。どこまで乗るのか分からない健三は、券売機で入場券を買って、降りる時に運賃を払うことにした。ホームに上がる階段を上ると直ぐに森山なのか上芝なのか分からない男が立っていた。
「権田?やっぱり権田だよな。俺だよ。上芝だよ。俺の事覚えてるか?」
健三は、やはり上芝だったと思うと同時に、この状況をどう切り抜けたら良いのか考えを巡らせた。
「やっぱり上芝だったのか。面影があると思ってたけどそうだったんだ。久しぶりだな。二十年以上会ってないよな」
健三は思い出した。自分と上芝には接点がないと思い込んでいたが間違いだった。高校一年の時に同じクラスだった。中学が違うので最初は同じ中学同士で集まっていた。数週間を経てクラス内が打ち解けて来た頃に初めて上芝と話をした。当時流行っていたロック歌手をお互いが好きだったのでその話を良く
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