第17話ページ33.34 ネット販売の取引
「まだ時間が早いから、前の喫茶店に入ろう。喫茶店からだったら待ち合わせ場所は見えるよね?」
「はい。いつも自販機が並んでいる横のスペースで渡します。喫茶店からだと、森山さんが前を過ぎるのも見えるはずです」
三人は涼しい喫茶店に入り、店の内側の席に座った。
「ここからだったら前を通っても見えないよね」
健三はアイスコーヒーを飲みながら美里に尋ねた。
「いつも、駅からこの前を通ってスーパーまで来るのでここなら見えないはずです」
いつもの取引の様子を健三は尋ねた。
「いつも交わす言葉も少なくて、何に使うとかの話もしないで商品を渡して、お金は封筒に入れてるのを貰います。前回は兄も一緒でも良いですか?と訊ねたら、一人で知らないおじさんと会って商品を渡すのも不安だよね。いつでもお兄ちゃんと来てくれて良いよと言ってくれました」
「いつもは美里ちゃんと森山さんはどっちが来るのが早いの?」
「それは色々です。私が待つときもあるし、森山さんが待ってくれている時もあります」
「連絡は直接じゃなくて、ネットの販売サイトのやり取りだけなんだよね?連絡先を聞かれた事もないの?」
「はい。連絡先を直接聞かれたら怖いのですぐにブロックするつもりだったけど、そんな感じでもないし、商品を買ってくれてお金も稼げるから」
健三はアイスコーヒー、誠と美里はメロンクリームソーダを頼んだ。昔ながらの純喫茶風でベロアのふかふかの椅子が懐かしさもあり、ゆったり寛げる。
「誠君と美里ちゃんはクラブ活動はしているの?」
「はい、僕がサッカーで美里はブラスバンド
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