第5話 ページ9,10 お得意様はストーカー?続編

を揃えて言った。商品の受け渡しの曜日は決まっているのか聞くと、決まっていないが、平日だったら夕方以降、土曜日は受け渡しがない、日曜日は昼間、との事だった。

健三はメモを取りながら

「何回買ってくれたの?」

「全部で二十回ぐらいです。最初のころは違う人も買ってくれてたんですけど、途中からは全部森山さんです」

「この事は誰かに相談されましたか?例えばお母さんとか」

「母子家庭で母に心配をかけたくないので何も言ってません。ネット販売していることも僕たち兄弟の秘密です」

 健三は母子家庭だったら、森山さんと言う方は二人の実の父なのでは、と閃いた。

「聞きにくいんだけどお父さんはどうしてるのかな?」

「僕たちが幼いころに両親は離婚をして、三年後に亡くなったと聞きました」

 健三の予想は一瞬で崩れた。娘に会いたい実の父からの応援の買い物だったのだ、と決めて解決した気になった自分が恥ずかしい。「わかりました。って森山さんの事がじゃなくて、野中さんのトラブルの事がです。少し頭を整理して、考えてみます」

「変な頼みごとを聞いてくれてありがとうございます。イチゴのショートケーキ三つ下さい。母も私も甘いものが大好きなんです」

 中学生の美里に気を使ってもらったのが申し訳ない気がした。

「今の季節のイチゴは美味しくないですよ。初夏のメロンか、白桃が甘くておススメです。

イチゴは五月を過ぎたら形だけイチゴで、味はおススメ出来ません」

 健三の説明を聞いて、美里と誠は相談して、白桃をふんだんに乗せたタルトにした。

「権田さん、ありがとうございました」

 こちらこそありがとうございますと言って、健三はスマホでラインの交換をして、二人を

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