第四話 海

俺たちは街の近くの港に訪れた。

4時は早い。眠いけどこういうのってわくわくするんだよ。

しかしこの港でかいねえ。街1港20ぐらい、ばかでかいんじゃ。

だが、そこには筋骨隆々の漁師が10人ばかりと鳥の鳴き声だけである。

幻の魚を捕まえるべく、船出の準備をした。

イカダは用意してあるのだ。


「荷物は詰んだか?」


「詰んだぞ!」


このイカダ、なかなかにでかく。縦横5メートルはありそうだ。長い航海になっても良いよう、ティッシュがパッキングしてくれた。


「ためになるものを入れたんだけどね、重いかもしれん。」


「足がびちょびちょじゃないか!」


「足なんか濡らせば濡らすほど幸せになるから。」


そうして幸せな出航をぶちかまし、日が差して暖かくなってきた頃。


「ここらで朝ご飯を食べようか。」


「そうしましょうか。」


そしてティッシュは積み荷から釣り竿を取り出すと、ミミズみたいなんを餌にして釣りを始めた。


俺は絶望した。

しかし何も言わなかった。


3日経ったが、未だ何も釣れない。

そんな中、近くを一隻の船が通る。

見た感じ小さな船に一人乗っているといった感じだ。

さらにこちらを見ながら肉を貪り、嫌みに笑う。


彼の船を乗っ取り、食料を奪うことを俺の本能が推奨している。

船が通り過ぎたとき、静かに海に飛び込み船に乗り込む。


「おとなしく食料を渡すんだ!!!!!!!!!!!!!!!」


俺は彼にナイフを突き出す。


「ひいいいいいいいいいいいいいいいいい」


彼を拘束し、荷をあさる。


食料をほとんど奪ったぞ。これで大丈夫。

船乗りはかなり怯えている。

もうここに用はない。


「じゃあばいばいありがとう」


俺が船を降りようとしたその時である。


「待つんじゃああああ」


「!!!!!!!!!」


船からぬるっと老夫婦が二人出てくる。

さらにずたずたのティッシュに包丁を突き立てて。


「これが欲しくばおとなしく食料を置いてゆくのだ。

 そしてその指輪もくれ。」


指輪がほしいのか?

それは別にいいけど...

こんな状況でも俺は修行をしたのでなんとかできる。

おなかが減っていなければ。


「きれいな指輪だなあ」

「おいやめろ!」

「儂の手を食うな!」

いいぞティッシュ


俺はそのスキに二人の首を刈り取った。

ティッシュも元気を取り戻したようだ。


「甘いいいいいいいいい!」


そう言い放った途端、老夫婦はティッシュの頭を包丁で串刺しにした。


「てぃっしゅうううううううううう!!!」


悲しむ間もなく、船を大波が襲う。

船はバラバラになり、ふと思い出す。


(俺は泳ぐことができない...)





奇跡が起き、離島に流れ着いた。

ティッシュも指輪も食料も失い、真の絶望を味わっていた。

悲しかったが、涙は出なかった。

ポケットの中におにぎりが入ってる!

おいしいなあ


「!?」


海から謎の光が見えたので、走って近づいた。

光の正体、それは魚だった。

全身が七色に光っており、毒毒しいので食べることはできないだろう。


「ザキ...ナカザキ...」


魚が喋ることに驚きはしない。

こういう時こそ冷静でありたいものだ。


「来い」


魚は巨大化し、俺を飲み込むとどこかへ移動し始めた。



最悪だ...










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