第二話 空腹

俺の旅が始まった。

晴天の朝に出たのはいいが、風が服を貫通してくる。こりゃちいと寒かったか。

そしてどこに行くかだが、手がかりは2年前から掴み続けている。

そう、2年前俺は父の部屋を調べた。そこで、床にキラキラ輝くものが落ちていることに気づく。まさしくそれは指輪だった。これがずっしり重く、怪しいマークが掘られててちょっとかっこいいかも。俺は、マークについて村の人に聞いて回ったけど、イカした答えは聞けなかった。

「昔見たことがあるような気がせんでもないような、あるような。」

といった感じだった。


ともかく、いろんな場所を巡って情報を得られれば幸いだ。


今俺は森の中にいる。

小鳥がさえずり、草木は風に揺られ...てはない。風がない。妙にジメジメして、朝が恋しいほど暑い。辺り一面緑で右も左もわからん。

ううううぅ


森を抜けた頃には、外は暗闇。月は雲で閉ざされ不安しかない。

周りには、草原が広がっている。


腹も減ったし、そろそろ人のいる場所に...


と思った矢先、遥か向こうにぼうっと小さな灯りが見える。

「よし!!飯だ!!」


その灯が近づくにつれて、そこが貧相極まりない場所だとわかった。


あったのは、

一つのランプと藁の布団、そして、そこで誰かが寝ている。すまんが限界なんだ。起こさせてもらう。


「あのう、すんません。」


俺の声を聞いた途端、そいつはむっくと立ち上がり叫ぶ。


「助けてくれ!!」


「...」


最悪だ。あんたが助けてくれよ。


俺はそいつから逃げようとしたが、弱い力で引き戻された。


「まあ話を聞いてよ!私は三日前から何も食べてないの!少しくらい恵んでよ!」


力一杯の声はしゃがれている。


「いいか?俺は無計画なんだ。よってなにも持っちゃあいない。残念だがここでお別れだ。」


そう言い残すと、そいつはショックを受けたのかバタンと倒れ、動かなくなってしまった。

流石に可哀想だなあ。でもなあ。どうしよう。


ふと横を見ると、小さくぼんやり俺の視界に映るのは、城?のような建造物。暗くても分かる。炎の光が反射して、ちょっと明るいし。


「今度こそきたぞ!」


俺はそいつを背負い最後の力を振り絞って、一直線にそこへ向かった。暗くてよく見えないが、浅い川を通ったっぽい。服がびしょ濡れだ。


鍛え抜かれた足によって、ものの数分で着いた。


そこには、我らが求めていた街!人!食べ物!がありそうな雰囲気だ。

俺はヘトヘトで門をくぐるのだった。

 


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