2024/07 ◆その頃はきっと散り散り スピカまで居眠り260光年

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自選(5首)



その頃はきっと散り散り スピカまで居眠り260光年





幼子の足が鳴らすぷきゅぷきゅをいつでも聴ける世でありますよう





夏が来る 君が去った夏が来る レシピを聞きたいキャラメルソース







ふたりしかわからぬ言葉が増えてゆく、辞書ができる頃には連理





アフォガート あたしの口に放ってよ 甘くて苦くて幸せの味



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現実という名の小石に躓いてポケットからは希望がぽろり





占いに溺れていたわ少女時代 茶葉入り紅茶で汚したカップ





唯一の形見は小さなぬいぐるみ、18年後も大事にしてるよ





夜だから許されるはず こんなこと 絵本を広げて笑っていよう





想い出はアルバム作りをするときに私によって組み立てられる






かろやかに風を纏って歌ってるシャツワンピースのやわらかな裾





そういえばケーキを あーん てしたときに にやり とするのが好きだと思うね





受験期の書付残る子ども部屋 部屋だけずっと合格できない





初孫の私を撫でる祖母の手に 浮きたる血管 いのちを感じる





忘れない 夏のあの日、路地裏で さいごに君は縄跳びしてた





引き出しにゆっくり地層になっていく書き損じちゃったラヴ・レター





たぷたぷと予測変換 君がトップ! 続く文字は内緒にします





どうしてか写真を撮るたび曲がる指 君が言わなきゃ知らずにいれた





おみやげを買ってくれたということは私のことも連れてってたのね





先生に会うため登校、受験生 恋なのではなく故意に推してる





ふとした時ぶつかってしまう、言うならばポップコーンの弾け損ない

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