第53話 呪術師と魅惑の料理
騎士子に奢らせる為に街北の人気店に来た。
流石の人気の人気店だけあって相席を余儀なくされたが蓋を開けてみれば見知った顔が一堂に会した。
知らんぷりを決め込む様な間柄でも無いので自然と挨拶からの自己紹介と言う流れになった。
まずは言わずと知れた俺は説明不要だろう。
ちょっとグルメでシャレオツなシティボーイ、発酵食品の事なら少々うるさいですぞ?
スミスのおっさんは普通に常連だったりする。
この店でも偶然会ったり示し合わせて来たりもする。
フェタ婆さんも偶に来ていたらしい。
と言うか彼女の村からチーズを仕入れてるんだから繋がりが有るのが自然だろう。
ジョバンニは地元民なので、この店の事は当然知っていた。
なんと今日はヤスにオシャレで美味しい店を教えて欲しいと請われて連れて来たそうだ。
ヤスに関しては最近ヒマさえあれば試射場に見学に来ているそうだ。
そこで練習してたジョバンニと仲良くなり色々と教えてもらってるそうだ。
騎士子は名をシャリーと言うらしい。
今回の事件は特に箝口令は敷かれなかったそうだが、何やら面倒臭い事になってるらしく少し
まぁ貴族絡みで面倒臭く無い事なんて、まず無いだろうからな。
今日がいいガス抜きになってくれる事を祈ろう。
それよりも凄く気になってるんだが、ジョバンニが持ってる荷物だ。
特徴的な形状の鞘に収まってるパッと見斧の様にも見える道具に非常に見覚えがある。
「ウチの新作のクピンガじゃの。鍛冶師が枝刃の角度に工夫をこらしての、研ぎ易くなっておる」
俺の視線がクピンガからスミスに動くと解説してくれた。
一点物じゃ無かったのか?
「リオンが試射場で投げてたのを見てたからな。弓が使えない状況での
ジョバンニも
しかもスミスのオッサン曰く
「自覚が無いのか?お前は“よろず屋スミスの宣伝係”だと思われてるぞ?しょっちゅう試射場で面白そうな玩具を持ち込んでは実演してるからな」
ニヤけ顔のジョバンニから衝撃の真実を告げられた。
そんなツモリはなかったんだけどなぁ……
ヤスも興味深げに食いついている。
ホレ、食卓で仰々しい刃物なんて仕舞いなさいよ……って騎士子まで興味津々かい!
終いにゃフェタ婆さんまで
スミスのオッサン、風切り音が出るが逆に威圧になるか?とか真面目に検討すんなよ。
そんな感じでワイワイやってたら店主手ずからスペシャルな一皿を持ってやって来た、ご丁寧に銀の蓋を被せてある。
今日は店主のお任せコースにしたので何が出てくるのか皆目見当がつかない。
アミューズ、オードブル、スープ、パスタと来たから次は魚料理あたりかな?
何にしろハズレが無いので楽しみばかりが先走る。
そして蓋が取り払われると……OH!なんてこったい!なんと色鮮やかな
米酢の開発に成功したけど新鮮な海産物の入手難度が高くて諦めてたお寿司じゃあ〜りませんか。
確かに川魚の寿司って発想は㌧と抜けていましたよ。
美味いんだよな〜、
「コイツが合うだろう」
口数の少ない店主が出したのは、かつて俺が納品した日本酒だ。
随分前に納めたから忘れていたが、まだ残ってたのか……確かにコイツは合わない訳が無い。
日本酒に合う料理と言う事でスミスのオッサンは興味津々、ジョバンニは食指を動かす俺を見て何かを悟ったのか受け入れ体制万端だ。
フェタ婆さんは匂いから発酵食品と見抜いたのか落ち着いたもので、ヤスと騎士子は独特の匂いに警戒している。
スミス印の
一口食べると、やはり
年長組は日本酒と合わせながら頷いている。
美味い物食べると頷いてしまうのは全国共通らしい。
ヤスも騎士子もアッサリ陥落している。
と言うか騎士子はドハマリしてる様だ……酸っぱ美味い米が最高だって?それは
お次の肉料理は、なんと味噌漬けだった。
独特の風味と凝縮した旨味と柔らかさは絶品と言えよう。
やっぱり日本酒が合います。
気合入れて増産して納品するぞ。
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